やる夫と学ぶダニエルズ理論【その4:有酸素性作業能】

やる夫と学ぶダニエルズ理論
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有酸素性作業能のプロフィール

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

やる夫くん、復習になるがランニングにおける三大要素は何だったかな?

やる夫
やる夫

えーっと、最大酸素摂取量(VO2max)乳酸性作業閾値(LT)ランニングエコノミー(RE)の3つかお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

正解だ。運動強度、すなわち走る速度を上げていくと、その三大要素が関係する体の変化が現れてくる。心拍数、酸素消費量、血中乳酸濃度、主観運動強度などだ。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

これらの指標は線形的に上昇して予想しやすいものもあれば、非線形で予想しづらいものもある。

やる夫
やる夫

ふーん、どれがどう予想できるんだお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

まず酸素摂取量(VO2)は走る速度と比例関係にあることが知られている。運動生理学ではVO2の最大値、すなわちVO2maxは持久力の最も重要な指標であると考えられてきた。

やる夫
やる夫

酸素摂取量が多いってことは肺活量が大きいってことかお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

いや、肺活量はほとんど影響しない。酸素摂取量という指標だが人間は酸素を使った分しか新たに取り込めない。つまり酸素消費量と言い換えた方がしっくり来るかもしれない。

やらない夫
やらない夫

単位時間でどれだけ酸素をエネルギーに変換することができるかどうか、という指標ですね。エンジンに例えれば排気量に相当する感じでしょうか。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

大体合ってる。その酸素摂取量だが、高ければ高いほうがいいと考えられてきた。ところが最大酸素摂取量に差があっても競技成績は同じくらいか、むしろ逆転することもあることがわかってきた。下の図を見てほしい

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

AとB、2人の選手はAの方がVO2maxが高いが、Bの方がVO2maxでの走速度vVO2maxが高いのだ

やらない夫
やらない夫

エンジンに性能差があってもドライバーの腕で逆転することもあると?

やる夫
やる夫

なんかイニDみたいになってきたおwww

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

その現象を説明する要素がランニングエコノミー

やらない夫
やらない夫

走の経済性と言われる指標ですね

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

そう、生産されたエネルギーをどれだけ効率的に前に進むエネルギーに変換できるかを示す指標だ

やる夫
やる夫

つまりランニングエコノミーが高い人の方が、酸素から前に進むエネルギーに効率的に変換できるってことかお?

やらない夫
やらない夫

NikeのBreaking 2プロジェクトの被験者3人のうち、デシサはVO2maxが最も高くタデッセはLTが最も高くキプチョゲはランニングエコノミーが最も優れていたみたいですね。結局キプチョゲのみサブ2に迫ることができた・・・

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

重要なのはVO2maxの値そのものではなく、VO2maxにおける走速度「vVO2max」なのだということが証明された一例だろう

やる夫
やる夫

ランニングエコノミーって具体的に何が影響するんだお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

ランニングフォーム、骨格、筋肉の質、走環境など様々な要素が影響するが、フォームの影響は大きいだろう。

やる夫
やる夫

vVo2maxはVO2maxとランニングエコノミーの両方が影響する指標というのはわかったけど、これの男女差ってあるのかお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

VO2maxは男性の方が有意に高いことが知られている。VO2maxは筋肉量も影響するからだ。一方、ランニングエコノミーはそれほど差がない。男女限らず効率的なフォームというのは共通ということだ。

ランニング能力の要素とその向上

やる夫
やる夫

三大要素のうち、VO2maxとランニングエコノミーは出てきたけど乳酸性作業閾値はまだ出てきてないお。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

血中乳酸濃度は非線形で予想し辛い指標だ。走速度を上げていくとある地点で急激に乳酸濃度が増加する点があるが、それが乳酸性作業閾値だ。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

乳酸は解糖系の代謝で生産され、酸化系の代謝で消費される。すなわち酸化系代謝能力が高ければ血中乳酸濃度の上昇を抑えられ、LTを引き上げることにつながる。

やらない夫
やらない夫

乳酸は疲労物質じゃない、というのは広く知られるようになってきましたが、乳酸濃度が高いと筋肉の動きを阻害するから結局血中乳酸濃度が高いのはよくない、ってことですよね。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

またvVO2maxの向上は同じ速度で走るときの心拍数の低下につながることも知られている。すなわち心拍数、VO2、LTはすべてランニング速度と相関していることがわかる。下の図を見てほしい

やらない夫
やらない夫

心拍数とVO2は走速度に対して比例していますが、血中乳酸濃度は閾値を超えると急激に上昇しますね

トレーニング中の心拍数

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

トレーニングの強度を測るのに心拍数をモニタすることは有用な手段だ。

やる夫
やる夫

でも暑いとなんとなく心拍数が上がりやすい気がするお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

その通り、暑いと皮膚の温度を逃がそうと血流量が増えるため、心拍数は上がりやすくなる。

やらない夫
やらない夫

環境に応じた変化で変動するけど、それを理解していれば心拍数は有用ってことですね。

やらない夫
やらない夫

心拍数をトレーニングの強度で使うのに把握しておくべきことは?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

まず最大心拍数は重要だ。最大心拍数に対する割合で運動強度を管理できる。あとは安静時心拍数も重要だ。心血管系が強くなれば安静時心拍数は下がるだろう。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

さらにヘモグロビン濃度のモニタでもトレーニングの強度を測れるが、これは特殊な機材が必要になるため、普段の練習で用いいるのは難しいだろう。

VO2の絶対値

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

VO2は消費量の絶対値で表現されることもあれば、それを体重で割った相対値で表されることもある。ランニングの場合重要なのはどっちかな?

やる夫
やる夫

なんとなく絶対値のが重要そうだお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

外れだ。ランニングの場合は自分の体重を運ばなければならないから、相対値の方が重要だ。軽いほうが有利なのだ。

やる夫
やる夫

じゃあギリギリまで減量するお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

それはオススメしない。体重を落とすと筋肉量も落ちてしまい、VO2の絶対値も落ちてしまう。その結果、VO2の相対値は改善するどころか悪化してしまうこともある

やらない夫
やらない夫

筋肉を残したまま脂肪だけ落とすのがベストってことですね。

まとめ

やる夫
やる夫

なんか賢くなってきたお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

次章からはいよいよ具体的なトレーニングの方法に入っていく。

やる夫
やる夫

やっとかお。楽しみにしてるお!

 

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