やる夫と学ぶダニエルズ理論【その10:VDOT】

やる夫と学ぶダニエルズ理論
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VDOTの意味

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

さて、ここまでトレーニングの原理や有酸素性作業能、トレーニングの強度について学んできたわけだが・・・

やらない夫
やらない夫

いよいよVDOTですね

やる夫
やる夫

そもそもVDOTってどういう意味だお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

これまで何度も出てきたVO2max(最大酸素摂取量)の略語だ。正式にはV-dot-O2-maxと読む

やらない夫
やらない夫

VはVolume、体積を表していると思うのですが、dotは何でしょう?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

dotは微分のニュートン記法だ。V-dotで単位時間あたりの体積の変化量を意味する

やる夫
やる夫

O2は酸素のことかお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

そうだ。V-dot-O2-maxで単位時間あたりの酸素体積の変化量の最大値、という意味を表している。日本語で表現すると「最大酸素摂取量」ということになる。

やらない夫
やらない夫

復習ですが、酸素摂取量≒酸素消費量でしたね。つまり単位時間でどれだけ酸素をエネルギーに変えられるか、という指標でした。

やる夫
やる夫

マラソンの場合にはVO2maxは体重あたりの相対値で表すのがいいと学んだお!だからVO2maxの単位はml/kg/分で表すお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

素晴らしい、2人ともよく復習できている

VDOTの推定方法

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

さて、前章ではトレーニングの強度について学んできたわけだが、各トレーニングペース(E, M, T, I, R)の定義はどのようにされていたかな?

やる夫
やる夫

VO2maxからの割合、もしくはHRmaxからの割合で表されていたお

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

その通り。だが、VO2の測定には専用の装置やトレッドミル走行が必要だし、HRも心拍モニタ付きのGPSウォッチがかなり普及してきてはいるが持ってない人も多く、正確な計測は難しいだろう。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

そのため、私はレースでのパフォーマンスから擬似的にVO2maxを推定する公式を編み出した。それこそがVDOTだ。

やらない夫
やらない夫

VDOTは擬似的なVO2maxであってVO2maxそのものではないんですね

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

そうだ、よくVO2maxとVDOTを混同している初学者も見受けられるが別の指標だということをまず理解してもらいたい

VDOTの公式

やる夫
やる夫

それで、その公式はどうやって導き出したんだお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

まず、私と同僚は様々な走力のランナーをテストし、2種類のグラフを作成した。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

1つ目はランニングエコノミーを説明するのに用いた、ランニング速度とVO2の関係を表したグラフだ。

やらない夫
やらない夫

傾きが小さいとランニングエコノミーが優れていて、傾きが大きいとランニングエコノミーが劣っている、というグラフですね。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

様々なランナーをテストし、それらを回帰分析して平均的なランナーのランニング速度とVO2の関係性を公式化した。それが以下のグラフだ。

ランニング速度とVO2の関係
やらない夫
やらない夫

走る速度に応じたおおよそのVO2が推定できるというわけですね。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

2つ目は運動の強度に応じてそれがどれだけ持続できるかを表したグラフだ。これも様々なランナーの測定結果を回帰分析して得られたものだ

運動の持続時間と%VO2maxの関係
ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

この2つを組合わせて、レースでの結果から擬似的なVO2maxを求める手順を示す。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

まずVDOTを求めるのに必要なのは、レース結果のタイムと距離だ。距離は何でもいいが、短すぎると誤差が大きくなってしまうかもしれないのである程度長い距離がいいだろう。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

まず2つ目のグラフを用いる。レースタイムを与えると、そのレースでどれだけの%VO2maxで走ったのかが推定できる。

レースタイムから%VO2maxを求める手順
やらない夫
やらない夫

この例ではレースタイム150分だったので、平均すると80%VO2maxの強度で走ったはず、という結果が得られたのですね。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

次に1つ目のグラフを用いる。タイムと距離を与えられているので、そこからその速度を求める。

やらない夫
やらない夫

下の図の例はフルマラソンを2時間半で走った場合の例ですね。この速度だと平均的なVO2は50という結果が得られました。この強度は先程の計算で80%という結果が得られてますね。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

そうだ、この見かけ上のVO2と%VO2maxから、見かけ上のVO2maxを計算する。これがVDOTとなる。

やらない夫
やらない夫

先程の例だと50/80%でVDOTが62.5という結果が得られました。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

ここまで求まればVDOTからvVO2maxも求まり、その割合である各トレーニングペースも求まる、というわけだ。

レース速度と%VO2maxからVDOTを求める手順

VDOTにおける個人差の影響

やる夫
やる夫

先生、一つ質問があるお

やる夫
やる夫

前にやる夫のVO2maxを測定してもらったんだけど、この方法で求めたVDOTとはずいぶん差があるお。精度に疑問を持っているお!

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

良い指摘だ。先程からVDOTのことを「見かけ上のVO2max」と呼んでいるのが答えだ。つまり本当のVO2maxを表したものではない。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

思い出してほしいがランナーはそれぞれランニングエコノミーが異なる。速度とVO2の関係を表したグラフでは傾きが異なっていただろう?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

VDOTはあくまで平均的な人のVO2maxだ。実際のVO2maxがVDOTよりも高い人はランニングエコノミーが平均よりも悪く、VDOTよりも低い人はランニングエコノミーが良い、ということになる

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

そしてこの差はそれほど重要ではない。なぜなら速度とVO2の関係はほぼ線形になっており、ランニングエコノミーが異なっても%VO2maxが同じならばvVO2maxもほぼ同じになるからだ。以下の図を見てほしい。

VDOTとVO2maxの差のイメージ
やらない夫
やらない夫

80%時のVO2に差があってVDOTとVO2maxも同じ割合で差がつくけど、vVO2maxはほぼ同じになるわけですね。

やる夫
やる夫

もう一つ質問があるお、この速度とVO2のグラフでVO2maxとランニングエコノミーの影響が考慮できているのはわかったけど、LTの影響はどこに行ったんだお?

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

LTは2つ目のグラフ、%VO2maxと持続時間の関係に加味されている。LTが平均よりも高い人は%VO2maxに対する持続時間は良くなるだろう。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

VDOTによるレースタイム推定で、短い距離の方が難しく長い距離の方が達成が容易なスタミナ型の人は平均よりもLTが優れていると考えられる。

まとめ

やる夫
やる夫

VDOTの計算方法と考え方についてよくわかったお!

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

VDOTについて市民ランナーの間で広く普及はしているが、その意味や求め方などを理解している人は半分以下だろう。

ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

求め方を知っていれば個人の特性に合わせて補正もしやすくなると思う。簡単な数学で求まるので理論が苦手な人もじっくり理解してほしい。

やらない夫
やらない夫

今はRunSmart Projectの計算ツールを使うのが簡単ですね。スマホアプリ版もあります。

やらない夫
やらない夫

あとは海外のダニエルズ信者が作ったExcelシートもありますね。こちらはカスタマイズ性が高そうです。

ネタがなかったらこのシートの使い方の紹介もしようと思います。
ダニエルズ先生
ダニエルズ先生

次回はVDOTを用いた年齢や性別を超えた比較方法について紹介する。

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