市民ランナーレベルでのヴェイパーフライの効果は1%?

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Nike ヴェイパーフライ4%の「4%」はエリートランナーのランニングエコノミーをZoom Streak 6と比べて平均で4%削減したことを意味することは以前まとめました。

この論文では10000m31分以内のエリートランナーが対象でしたが、幅広い走力の市民ランナーについても同様の効果があるのかが気になる方も多いと思います。

すでに使われている多くの方は効果を実感しているかと思いますが、その統計的な裏付けを取った記事を見つけたので紹介します。

といっても最近の記事ではなくすでに1年以上も前の記事ですが・・・

Nike Says Its 0 Running Shoes Will Make You Run Much Faster. What if That’s Actually True? (Published 2018)
An analysis of nearly 500,000 running times estimates the effect of shoes on race performance.

この記事は、ニューヨークタイムズ紙がランナー向けSNSのStravaのデータを分析して、ヴェイパーフライに履き替えた人とそうでない人でどれくらい差があるかを統計的に分析したものです。

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分析方法

ランナー向けSNSで世界的に最もシェアがあるのはStravaでしょう。全世界のユーザ数は4,000万人とのことです。

そのStravaにアップされるデータのうち50万件のレースデータを分析したそうです。Stravaにはレースで履いたシューズを入力できるので、そのデータを用いて分析したようです。その上で何通りかのアプローチで分析を行っています。

アプローチ1:統計モデルによる比較

年齢、性別、レース履歴、場合によってはレースの前の数か月のトレーニング情報、レース当日の天候などをパラメータとして与えてタイムを予測するモデルを構築し、シューズの変化でタイムを予測するアプローチのようです。

その結果が以下。4%程度の向上という結果で、Streakと比較すると1%程度の差ですね。

アプローチ2:同じ2つのレースを走ったグループ間での比較

同レベルの2人が同じ2つのレースを走っており、かつその前後で片方がシューズをヴェイパーフライに変えた場合にどのくらいパフォーマンスの差があったかを比較したようです。

例としてボストンマラソン2017と2018での比較を紹介しています。

2017と2018で2年連続で走った1275人のデータを分析したところ、タイムの分布については大きな差は見られませんでした。もちろん速くなった人もいれば遅くなった人もいて、平均で見ればほとんど変わらないということでした(下図の上の分布)。

一方、ヴェイパーフライに履き替えた人は52人いて、このうち85%は前年よりも速くなったそうです。これを見ても明らかに速くなることがわかりますね。

(下図下の分布)

同様の分析を他のレースでも行っていて、そのまとめがこちら。

これもアプローチ1と似たような結果になりました。ヴェイパーフライに履き替えた人が4%ほど速くなったようです。Streakとの差も相変わらず1%程度ですね。

アプローチ3:あるランナーがシューズを変更したときの比較

マラソンの結果を5回以上アップしている4,000人に対して、レースシューズを変更したときのパフォーマンス変化を比較したようです。シューズでどの程度パフォーマンスが変わるかを分析する単純なアプローチですね。

この結果はアプローチ1,2と比較すると若干改善割合は落ちますね。ただ相変わらず改善率はトップです。

アプローチ4:PBの可能性の比較

これは今までのアプローチと異なり、シューズを履き替えたときのPB更新の可能性を分析しています。具体的にどうやったのかは記事を読む限りはわかりませんでした。

これはStreakに首位を明け渡してしまいましたが、2位と非常に高い値ですね。

まとめ

どのアプローチも完璧ではないですが、Streakと比較して1%ほど高速になるという統計的な結果は得られました。奇しくもキプチョゲ選手がキメット選手の世界記録を更新した割合とほぼ同じですね。旧世界記録はadizero japan boost 2ですが。

この分析からも、ヴェイパーフライはエリートランナーレベルのみならず、市民ランナーレベルでも1%程度のパフォーマンス向上が確認できたと言えそうです。サブ3レベルだと2分弱くらいでしょうか。なんとなく実感と合っていそうな気もしますね。

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