シューズによる練習効果の違い

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シューズ・ギア
出典:https://www.asics.com/
この記事は約5分で読めます。

開設から2ヶ月半ほど経過した当ブログですが、通算コメントは2件(うち1件はリアル知り合い)という過疎っぷりを発揮しております。

そんな過疎ブログですが、ありがたいことに先日読者様からご質問を頂きました。その内容について私自身も考えるところがあり、1つの記事にさせていただきます。

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ご質問内容(一部改変)

はじめまして。
いつも、興味深い内容のブログを投稿していて参考にしています。
最近、ヴェイパーフライの考察を読み参考にさせてもらいました。
ごっきーさんの見解を聞きたくて、ご質問させていただきます。
私は、ズームフライフライニットを愛用しており、ロング走とレースに利用しています。
練習内容と練習靴についての効果を聞きたいです。

私のPB
10km 37:**
ハーフ 1:22:**

例えばインターバルを1000m5本をした場合レスト90で5本を均等に走るとなると

ズームフライフライニット ⇨ 3’30 
アシックス Gel Infini2   ⇨  3’40

のペースになります。
靴によって速度が変わりますので、練習効果も変わってくると思います。
俗説では、ズームフライを履いて練習すると弱くなるとの話も聞きます。

ごっきーさんの考察を参考にしたいと思いまして質問させていただきます。
なにか見解があれば教えていただけると嬉しいです。

どうぞ、宜しくお願いします。

私の回答(一部補足)

いつもブログ読んでいただきありがとうございます。
ご質問の件ですが、ズームフライFKの練習効果についてですね。

生理学的な面での練習効果の考え方は「心肺的な負荷 x 時間」だと考えます。
心肺負荷は%VO2maxで管理できるのが理想ですが、設備的にそんなことは無理なので心拍数でおおよその負荷を管理するのが一般的と思います。

そのため、シューズで練習スピードが変わるようでも心拍数を同じくらいまで追い込めれば生理学的な練習効果は同じだと思います。

おそらくズームフライFKで走られてるときは他のシューズよりもランニングエコノミーが改善しており心拍数的に余裕があるでしょうから、最大スピードが上がっていることと思います。

なので私の考えでは、心拍数(もしくは主観運動強度)で負荷を管理するなら(生理学的な)練習効果は変わらない、と考えます。

お答えになりましたでしょうか。

以下でもう少し補足していきます

シューズによって練習スピードが変わるのはなぜ?

シューズの違いはランニングエコノミーに大きく影響します。

シューズでまず重要なのは重さ。シューズは脚をスイングするときの末端なので、わずかの重さの違いでも慣性モーメントとしては大きな差になってきます。そのため軽ければ軽いほどいいと言われるわけですね。

重さ以外では反発とクッション性も重要ですが、これらは相反する要素だと考えられており両立が難しい要素でした。ところがそれを軽さまで含めて両立したのがヴェイパーフライですね。

Aさんが練習で使われているズームフライFKですが、この靴はやや重いのでその点はランニングエコノミー的にマイナスに働くはずです。ですがそれを補ってあまりある程の反発とクッション性があるため、重さを帳消しにするほどのランニングエコノミーの改善があるのだと思います。

ではランニングエコノミーが改善して速度が改善するのはなぜか、ですが当ブログで何度か書いてきたいつもの図を使って補足します。

まずランニングエコノミーはある速度で走るときの酸素消費量で評価されます。すなわち上図のグラフの縦軸方向ですね。これが少ないほど効率的に酸素をスピードに変換できるということになります。

シューズによりランニングエコノミーが改善することは、このグラフの傾きが小さくなることを意味します。

シューズ変更前後で、同じペースを目安にする場合は、心肺的な負荷(%VO2max)は下がって同じペースで走る分には楽になるはずです。

逆にシューズ変更前後で、同じ心肺的な負荷を目安にする場合は速度が改善します。

これがAさんが練習でズームフライを履いたら速度が上がった、という体験につながるわけですね。

心肺への負荷はどう評価したらいいの?

さて、心肺的な負荷は正確なところではVO2で評価できるのが望ましいです。ただしそんな環境は実験室など専門機関にしかありませんから、普通の市民ランナーが練習に取り入れるのは不可能でしょう。

そこでVO2の代わりに心拍数が目安になります。心拍数も走速度に応じてほぼ線形に増加することが知られているため、VO2の代替として使えます。

ただし、注意しなければいけないのが心拍数は環境によっても大きく変わります。気温や湿度が高いと心拍数も上がりやすいですし、体調が良くないときでも高めに出やすいです。

そのため心拍数を最大値付近まで追い込めたとしても、VO2は追い込めなかったということはあり得るでしょう。

近年普及している腕時計式の心拍計は誤差もそこそこあるので、より正確に測定したい場合は面倒でも胸部ベルト式のものを使った方がいいでしょうね。

Aさんは元々心拍数や主観運動強度を目安にしてトレーニングをされていたので、シューズでパフォーマンスが変わっても生理学的な練習効果は変わらないと思われます。

結局練習でどのシューズ履いたらいいの?

SUSHI MANさんの以下のコメントに完全同意です。

トラックではキック力を鍛えるためにスパイク、ロードでのロング走などは脚へのダメージを考えてクッション性の高いシューズ、スピード練習ではピッチを上げるために軽量高反発のシューズ、など目的に応じて使い分けたいですね。

まとめ

  • シューズでランニングエコノミーは変わってくるけど、心肺的な負荷を同じにすれば生理学的な練習効果は変わらないと思うよ
  • 心拍数はVO2の代替として目安になるけど、環境、体調によっても変わってくるし、腕時計式は測定誤差も大きいのでその点は注意が必要だよ
  • 目的に応じてシューズを使い分けるのが重要だよ
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ごっきー
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