カノーヴァ式トレーニングの概要

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トレーニング
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レナート・カノーヴァというイタリア人のコーチをご存知でしょうか。

NHKの「奇跡のレッスン」という番組に出演して日本でも一躍有名になったと思いますが、陸上競技界では以前から世界中で注目されていました。

カノーヴァ氏は現在ケニアに住んでおり、アベル・キルイ(世界選手権2大会連続金メダリスト)、ウィルソン・キプサング(元世界記録保持者)、ソンドレ・モーエン(元ヨーロッパ記録保持者、2017福岡国際優勝)など多くの名選手を指導しています。また中国代表のコーチをしていたこともあるようです。

そんな名コーチであるカノーヴァ氏のランニング哲学について考察していきたいと思います。カノーヴァ氏のトレーニングについて、書籍等は探した限りなくオンラインのソースが中心となります。

参考にした主なソース

https://runningscience.co.za/elite-athletes-training-log/renato-canova/
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ランニング哲学

カノーヴァ氏のトレーニングで最も重要視されているのは特異性(Specificity)です。ダニエルズ先生もトレーニングの原則として言及していますが、レースペース付近で走ることが最も効果的であるとする考え方ですね。

カノーヴァ氏はこの考え方を練習の根本に据えており、短い距離からレースペース付近で走り、徐々にそのペースで走れる距離を伸ばしていくというアプローチを取ります。

基本的に量よりも質を重視しているので、練習量は少なめですがレースペースで走る割合は高いようです。

4つのトレーニングペース

再生(Regeneration)ランニング

いわゆるリカバリラン・イージーランで、ハードなワークアウトからの回復を促進するのが狙いです。ペースの目安は嫌気性代謝閾値(AT:Anaerobic Threshold)の60~70%。VDOTユーザならTペース目安でいいでしょう。

サブ3レベルのVDOT53程度なら5’40″~6’40″/kmくらいとダニエルズ先生のEペースよりもかなり遅いです。

ダニエルズ先生のEペースのように心血管系の強化という狙いは見つかりませんでした。

基礎構築(Fundamental)ランニング

連続的なロング走に用いられ、VDOTユーザのMペースから10%~20%遅いペースに相当し、週に2,3回行って持久力を高めます。

ダニエルズ式のEランニングに相当するものと思われます。

準専門的(Special)なランニング

レースペースより10%遅い~5%速いペースで、何通りかの走り方があるようです。

レースペースより遅いペースだと、連続的なランで持久力を高める狙いのようです。

レースペースより速いペースだとインターバルとして実施し、バイオメカニカルの効率を向上させるのが狙いのようです。インターバルは短い距離ほど速く走るように設定します。

このあたりもダニエルズ式のインターバルとは大きく違いそうですね。

専門的(Specific)なランニング

レースペースの95%~105%でのランニング。レースに向けた専門的な能力を養います。

4つのトレーニング期分け

導入(Introduction)期

期間は3週間。

基礎を構築するフェーズで、イージーランニングが中心。短いヒルスプリントや技術的なドリル等もこのフェーズで行われるようです。

基礎構築(Fundamental)期

期間は2ヶ月。

イージーランに加えて長距離のテンポランが入ってきます。このフェーズで走行距離は最大になるようです。この期間の目的はレースペースの10%-20%遅いペースでその距離を走れるようになること。マラソンの場合は2時間5分~2時間半走れるようになるのが狙いです。

このフェーズを終えると、遅いペースを減らして徐々に速いペースを増やしていくようです。

準専門(Special)期

期間は2ヶ月。

レーススピードと持久力を両面から構築していきます。このフェーズで最も重要なのはレースペースで走れる距離を伸ばすこと。目的はレーススピードを上げることではなく、レーススピードで走れる距離を伸ばすことのため、マラソンランナーはレースペースの105%を超える練習はしないようです。なぜならばすでに短い距離ならばレースペースで走れるから。

エリートランナーはレースペースで20-30kmを走るか、レースペースの87.5%で45-50kmを走るような練習をするようです。

またFundamentalランニングはこのフェーズでも継続して行います。

専門(Specific)期

このフェーズの目的はレースに近いペースで高い練習量を積み上げることです。

練習例としては

  • 4km x6本をレースペースの102%
  • 40kmをレースペースの92%

またこれまでの全てのワークアウトも並行して行っていきます。

期分けのイメージ

カノーヴァ氏の期分けは漏斗(Funnel)型と呼ばれるようです。レースペース(Specific)に対して低強度高ボリューム(スタミナ)、高強度低ボリューム(スピード)をそれぞれ鍛えていき、練習が進むにつれて最終的にレースペースに近づけていく、というイメージですね。

個人的な感想

ダニエルズ式との違いは、やはりレースペース付近でのロング走を重視するかどうかですね。

ダニエルズ先生はMペースの生理学的効果はEペースと大差ない(LTやVO2maxに与える影響はあまりない)としており、その一方で負荷は高いのでMペースのロング走は週間25kmまでに制限しています。

一方、カノーヴァ式では最終的にレースペース付近でのロング走が練習の中心になっていくので、負荷はかなり高そうです。これがこなせるなら理想的だとは思うのですが、市民ランナーが取り入れるのは難しいかもしれません。

なお、キプチョゲ選手もロング走はかなりの負荷で行っているようですから、キプチョゲ選手のコーチのサング氏もカノーヴァ氏の影響を受けている可能性は高そうです。

全体的にみるとカノーヴァ氏のランニング哲学は納得できる点も多くある一方、科学的な裏付けが少ないように感じます。 一方、ダニエルズ先生は運動生理学者でもあるので、その点の裏付けはしっかり取られているので個人的にはダニエルズ式の方が客観的な説得力はあると思います。

ただ結果を出しているアスリートも多いので、書籍等を出せば世界的にかなり売れると思いますし日本でも有名になったので売れると思います。

公演の動画などはあるので興味がある方は見てみてください。

まとめ

  • カノーヴァ氏のランニング哲学は特異性を特に重視しているよ
  • レースペースよりも遅い低強度高ボリューム走と速い高強度低ボリュームを最終的にはレースペースに近づけていく期分けが特徴だよ
  • ダニエルズ先生のトレーニングメソッドとは異なる点も多いけど、結果を出しているアスリートも多いので取り入れられるものは取り入れたいよ
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ごっきー
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コメント

  1. 匿名 より:

    カノーヴァ式は限られたエリート向けなんでしょうね
    9割以上のランナーはダニエルズで十分だし適しているのでしょう