最近のレースの好タイム続出はヴェイパーフライの影響?
ヴェイパーフライが登場して以来、すごい勢いで世界中の記録が更新されているのはご存知の通りです。
最近の日本のレースに限っても
- クイーンズ駅伝で優勝した日本郵政は全員ヴェイパーフライ使用
- 高校駅伝で男女とも優勝した仙台育英も全員ヴェイパーフライ使用、女子2位の神村学園も全員ヴェイパーフライ使用で、大会全体でも好記録が続出。
- 気象条件にも恵まれたニューイヤー駅伝では上位3チームが大会新(もちろんヴェイパーフライ使用者多数)で区間新記録も多数更新(一部の区間は最近距離変更があったが)、4区井上大仁選手の記録はハーフ換算で日本記録更新相当
とあらゆるレースでヴェイパーフライが上位を席巻し好記録が続出しています。
また世界レベルで見ても、ヴェイパーフライが登場して以降、マラソンの世界150傑の記録のうち半分がヴェイパーフライで出した記録によって占められたようです。人間の能力がここ数年で急激に伸びるなんてことは考え辛いでしょうから、もはやヴェイパーフライの恩恵は明らかです。
そしてこれは実験室レベルやエリートランナーに限った話ではなく、市民ランナーの統計レベルでも大きな恩恵があることはニューヨーク・タイムズ紙による分析で確認されています。
私自身はこの状況が競技として好ましくないと考えていますが、ルールを作る側、すなわちWA(世界陸連)もこの件について調査をしているのはご存知の通り。
そんな状況の中、フリーランスのスポーツジャーナリスト・Cathal Dennehy氏が書いた記事がアイルランドのIndependent紙に掲載されて海外フォーラム等で話題になったのでご紹介します。
紙面で見るとインパクトありますね。オンライン版はこちら。
またこの記事を受けてカナダのRunning Magazine誌も記事を書いています。
Dennehy氏の記事の概要
Dennehy氏は文中でヴェイパーフライはEPO(エリスロポエチン製剤、90年代に蔓延した血液増強薬、もちろんドーピング違反)に匹敵するゲームチェンジャーであると指摘しています。
またINEOS1:59でキプチョゲが履いたAlphaflyの市販品は4月下旬に発売されるかもしれない(ソースは不明)としており、関係者の話ではそのランニングエコノミー改善率は8%近くにもなるとのこと。
ヴェイパーフライがWAのルール上規制の対象になるかの基準となるキーワードの1つである”不公平”については、例として市販される前に2016年のリオ五輪選考会で一部のNikeアスリートにプロトタイプとして支給されていた点を”不公平”であるとしています。Nikeの特許も強力で他社が参入する障壁になっているとのこと。
現在のルールでは過度な技術競争に対して歯止めが効かなくなり、長距離競技がディストピアになる恐れがあると指摘。そのため、まもなく出るであろうWAの新しいシューズ規則ではソールの厚さに制限が入るだろうとのこと(憶測?ソースまではわからなかった)。
この厚さ制限の値がどうなるか次第ですが、場合によっては現行のヴェイパーフライも全て禁止になるでしょうし、現行のNext%を上限に設定してAlphaflyを禁止にするという条件も考えられるでしょう。この設定次第ではBrooks、Asics、New Balance、Saucony、Skechersなどの厚底シューズも巻き添えを食らう可能性はありそうです。
記事の最後は以下の一文で締めています。
“Just do it.”
まとめ
- まだ確定ソースではないけどソールの厚さに制限が入る可能性は高そうだよ
- 場合によっては他社の厚底シューズも巻き沿いになるかもしれないよ
- Alphaflyが噂通り4月に出てきてさらに合法ならばランニングエコノミー改善率は8%近くにもなるようだよ
コメント
個人的には早く決着がついて規制が入る事を望んでいます。
ナイキと契約している海外の有力ランナー達でヴェイパーフライが原因で深刻な故障を抱えているという情報もありますし、おそらくそれと同じ事態が富士通男子駅伝部と東洋大と東海大の男子駅伝部に発生し、思うような結果が出なかったと思います。
今後仙台育英の男女駅伝部と日本郵政と名城大の女子駅伝部にも発生するかもしれません。
調査は多分ナイキ以外のメーカーにも入っているように思えます。特にホカの厚底は調査が入ってもおかしくない製品ですから。
ナイキ以外のメーカーも巻き添えを食う結果になりますが、規制されるという審判が下るのを願っています。
故障との因果関係の証明は難しいですが、可能性はありますよね。
何らかのレギュレーションが入るのはほぼ確実でしょうからどこで線を引くか、難しい決断を迫られそうです。