ダニエルズ先生のトレーニング期分けの考え方はとても理に適っており、多くの方が取り入れていると思います。ダニエルズ先生の期分けについては以下の記事も参照してください。
その期分けのうち、フェーズIIはRペースでのレペティションによるランニングエコノミーと無酸素運動能の改善にフォーカスした期で、スピードが上がるほど重要になってくるフェーズで、しっかり期間をかけて取り組んでいる方は意外と少ないのかなという印象です。
そんなフェーズIIですが、ダニエルズ先生の推奨メニュー例ではたまにTペースのテンポ走 + クルーズインターバルのメニューが出てきます。
例えば、
- R 200m x4 – T 1.6km x4 – R 200m x4
- T 1.6km x6 – R 200m x4 – T 1.6km x2
といった具合。考えただけでもきつそうです。ちなみにマラソン向けの2QプログラムなどではR+Iの組み合わせもあって、海外フォーラムでも鬼畜メニューと大評判。
そんなR+Tメニューについて考察してみようと思います。
フェーズIIでRペースに取り組む理由
ダニエルズ先生は各期で新たに追加する刺激は一つまでにする方がよいと述べており、フェーズIではEペースのみで基礎を固めることを推奨しています。
その次に来るフェースIIでは新たに追加する刺激としてRペースを推奨しています。Rペースなら新たに加わる刺激はスピードのみであり、有酸素性システムや乳酸除去システムにはほとんど負担はかかりません。
しかしIペースで走るとスピードに加えて有酸素性システムにも刺激が加わりどっちつかずの練習となってしまうためです。二兎を追う者は一兎をも得ず、ですね。
フェーズIIでTペースが出てくる理由は?
ではダニエルズ先生のメニューでなぜフェーズIIでTペースが出てくるのでしょうか。これに関しては書籍中に明確な記述はないと思われるのでここからは私個人の考えですが理由は2つあると思います。
1つはRペースで無酸素運動能ばかり刺激していると有酸素性システム、乳酸除去システムが衰えてしまう点。普段はEペースでこれらの刺激はあるとはいえ、自己の限界に近いレベルまで鍛えているランナーではEペースのみでは徐々に落ちていってしまうでしょう。そのため、ある程度有酸素系の刺激を入れるためにTペースを適宜入れていると思われます。
2つ目は乳酸除去システムの改善にはある程度期間が必要なためだと推測します。個人の感想ですが、故障等でブランクがある場合、Iペースは以前到達したレベルまで比較的早く戻りますが、Tペースの方の戻りが遅いと感じます。そのため、TペースをフェーズIIから取り入れて、最後のフェーズIVでメインにフォーカスする、という流れにしているのだと思います。
R+Tってキツそうなんだけどこなせるの?
Rペースは速筋繊維の動員比率がかなり高く、しっかり呼吸を整えてもキツい練習です。
一方、Tペースは速筋繊維による乳酸生成と遅筋繊維による乳酸消費のバランスが取れる閾値付近で、動員する筋繊維の比率が若干変わってくると思われ、意外とこなせると思います。
これがR+Iペースになると、IペースはVO2maxに近いペースですから速筋線維を動員し、最後はVO2maxを刺激できるほどのペースを保つのが厳しくなると思います。
どうしてもR+IをやるとしたらIをメインに据えてIを先にやるパターンですかね。ダニエルズ先生の2Qプログラムでもこの順序で設定されているメニューが多いです。
RとTの間ってどれくらい取ればいいの?
T→Rの場合は、Rは呼吸がほぼ回復した状態じゃないと厳しいペースなので、しっかりリカバリ時間をとるのが良いと思います。
一方Tの場合は、クルーズインターバルだと疾走1.6kmでレスト1分が推奨ですから、R→Tは完全に回復させるよりもある程度息が上がっている状態が好ましいと思います。
その当りは海外フォーラムでも議論されていました。
まとめ
- ダニエルズ先生の期分けによるフェーズIIはスピードが上がるほど重要な練習になってくるよ
- Rペースにフォーカスした期だけど、Tペースと組み合わせたメニューも出てくるので適度に有酸素運動能も刺激しているよ
- R+Tのメニューはキツそうだけど、使う筋繊維比率が変わってくるので意外とこなせるのでオススメだよ
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