ヴェイパーフライの登場により始まったスーパーシューズ(カーボンプレート内蔵+厚底)の開発競争。
すでに市場に出ているものもありますし、今後も各社がプレート内蔵のシューズを続々と出してくると予想されています。
BrooksのHyperion Elite
SauconyのEndorphin Pro
New BalanceのFuelCell TC
Under Armour HOVR Machina
Asicsのメタレーサー
adidasのadizero Pro(本命は例の厚底みたいだが)
などなど。
もはやプレートシューズがスタンダードになりつつありますが、シューズに内蔵されたプレートはどのように働いているか、意識できている方は少ないのではないでしょうか。今回はその効果を実験により検証した文献を紹介します。
実験方法
13人のレクリエーションランナーが3.5m/sのトレッドミル上で走り、足のアーチ、足底筋腱ユニット(pMTU)、シャンク筋腱ユニット(sMTU)にモーションセンサーを取り付け、その動きをモニタしました。
シューズはコントロールシューズ(control, Nikeフリー5.0)と、それにカーボンファイバープレートをインソールの下に入れて剛性を高めたシューズ(stiff)で比較を行いました。重さは元々が225gでプレートを入れて289g。
結果
pMTU(足底筋腱ユニット)の変形が大幅に減少しました (平均 ± 標準偏差; stiff, 7.26 ± 1.78°; control, 8.84 ± 2.87°; p ≤ 0.05) 。
また、pMTUとsMTU(シャンク筋腱ユニット)の収縮速度も遅くなっています(pMTU 収縮速度:stiff, 4.39 ± 1.59 mm; control, 6.46 ± 1.42 mm; p ≤ 0.01、sMTU収縮速度:stiff, − 0.35 ± 0.08 m·s−1; control, − 0.45 ± 0.11 m·s−1; p ≤ 0.001 )。
速度はトレッドミル上で一定ですから、足の仕事量が減ることにより、ランニングエコノミーが向上したと考えられます。この実験ではVO2の測定などはしていないので直接それを示す証拠はありませんが。
これは、ヴェイパーフライを研究している多くの方が足の仕事量(特に下腿三頭筋)の減少を指摘しているのと一致します。
一方、収縮速度が遅くなっているのが腱に起因している場合、それは腱のエネルギーリターン能力の低下を示す可能性があると著者らは指摘しており、今後のさらなる研究が必要であると結んでいます。
まとめ
- プレートシューズが今後各メーカーからたくさん出てくる予定だよ
- プレートにより曲げ剛性が高まる事によって、足の仕事が減ってランニングエコノミーが改善する可能性があるよ
- 腱のエネルギーリターン能力が減っている可能性もあるので、今後のさらなる研究が待たれるよ
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