スーパーシューズ(厚底+プレート)として圧倒的なシェアを誇っているヴェイパーフライシリーズ。このシューズを履いた選手たちが打ち立てた数々の記録を見てもその実績は圧倒的なわけですが、みんな同じシューズを履いて面白くないという人も多いでしょうし、ヴェイパーフライがどうしても合わなかったという人もいると思います。
もちろん他社もこの状況を面白く思っていないのでその牙城を崩そうと今年に入って続々とスーパーシューズを投入してくる予定です。
その一角であるBrooksは他社に先駆けて全米トライアル当日の2020年2月29日にヴェイパーフライ対抗のスーパーシューズであるHyperion Eliteを世界同時発売しました。

Brooks自体、日本ではそれほどメジャーではないのでこのシューズを履いている人は多くないと思いますが、気になっている方は多いと思います。
今回はRunner’s World誌がHyperion Eliteを切断してヴェイパーフライと比較した解説動画を上げているのでその内容を紹介します。
Hyperion Eliteの歴史
Hyperion Eliteのプロトタイプが最初に確認されたのは2018年、Dathan Ritzenhein選手がNYハーフで使用し、2位に入りました。その翌月、Des Linden選手がボストンマラソンで使用しました。このときはレース4日前に受け取ってそのまま使用したようです。なお低温冷雨の悪天候となったこのレースでLinden選手は優勝、男子は川内選手が優勝したことが話題になりました。
このときのプロトタイプは真っ黒に塗られていたため、当時はヴェイパーフライを黒塗りしているのではないかと噂されたようです。
当時はまだ初代ヴェイパーフライが品薄で、一般ランナーでヴェイパーフライを履けている人はかなり少なかった時期ですね。
この時期に投入できていればここまでNikeの独占を許すことはなかったと思いますが、すでにほとんどの一般ランナーがNikeを履いている現状ではここから巻き返すのはなかなか難しいと言えます。
ちなみにこのシューズを履いたBrooksの契約選手は全米トライアルを通過できず、特に大波乱だった女子ではリンデン選手も4位に終わってしまいました。残念ながらオリンピックではこのシューズを見ることはできなそうです。
使用感
この動画で履き比べたアマンダ氏は、ヴェイパーフライと同じような浮遊感が得られるが、Hyperion Eliteの方が固いと評価しています。実際に力を入れて曲げようとした場面でもHyperion Eliteの方が固そうですね。
また、男女兼用なので女性には踵のホールドが緩すぎるようです。
構造の比較
相変わらず容赦なく糸鋸で切断しています。
切断面を見る限りはプレートの配置はかなりヴェイパーフライNext%と似ていますが特許的にはどうなんでしょうか?

ちなみにHyperion Eliteのミッドソール素材はDNA Zeroという名前でEVAベースの素材のようです。ヴェイパーフライはご存知の通りPebaxベース素材のZoomXフォームですね。フォーム自体の硬さでもHyperion Eliteの方が固いようです。
厚さはフォアフット部が22mm、踵部が33mm。ちなみにヴェイパーフライNext%はそれぞれ32mmと40mm。厚さはHyperion Eliteの方が薄いようです。
この動画で具体的な重さに言及はありませんでしたが、27cmで196gとヴェイーパーフライNext%の182 gよりやや重いです。
ヴェイパーフライNext%よりも薄くて重いという残念な感じですが、ヴェイパーフライが厚すぎて合わないという意見もあるのでそういう方は試してみる価値はあるかもしれません。
ちなみに値段は税込み29,700円とNext%よりややお得です(といっても高いが)。
まとめ
- スーパーシューズの一角のBrooks Hyperion EliteをヴェイパーフライNext%と比較した動画の紹介だよ
- ヴェイパーフライNext%と比較してプレートの配置はほぼ同じだけど、ミッドソール素材が異なって厚さも薄くてやや重く、より固いようだよ
- ヴェイパーフライが合わないという人は試してみる価値はあるかもしれないよ
コメント