閾値走(Tペース走)のバリエーションを考える

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テンポ走
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以前、LTを改善するための代表的な練習方法である閾値走について、最初にエビデンスを示した文献を紹介しました。

Tペース閾値走の起源
練習で閾値走を取り入れている方は多いと思います。有酸素運動能の代表的なパラメータである乳酸性作業閾値(LT:Lactate Threshold)を向上させる練習として、ダニエルズ先生の著書でも20分のTペース走を推奨しています。L...

この文献では血中乳酸濃度が4mmol/lになる点(OBLA)で20分走を週1で実施することによってOBLAでの速度が向上することを示唆しました。

Sjödin氏のOBLAによる20分走は確かにエビデンスのある練習方法ですが、これに固執しすぎるのも収穫逓減の法則的によくないでしょう。

そのため他の練習方法にも取り組む必要があると思われますが、最も効果がある練習方法を科学的に特定するのは非常に困難ですし、個人差もあるので自分に合う方法を見つけるのも重要だと思います。

そもそもLTと呼ばれる指標は様々な定義があり、非常に混乱しやすいです。よくあるのはLT1, LT2という2段階で定義する例や、もっと複雑になるとLT4.0(OBLA)、LTdmax、LTvisual、LTsustainedなど4段階で定義する例などもあり、 実際どの速度でどれだけ走るの良いのか混乱は増すばかり。

それを探るためまずは乳酸についておさらいしてみましょう。

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血中乳酸濃度の上昇についておさらい

乳酸は主に速筋の代謝過程でグルコースが分解されて出来る副産物。この過程で酸素は使われません。この乳酸を酸化させて遅筋で使用するのですが、運動強度が上がってくると激しく運動している脚で酸素が不足してきます。

これに対処するために、乳酸を心臓、脳、腕、肝臓などで利用するため血液を経由して輸送することで(乳酸シャトル)血中乳酸濃度が上昇します。乳酸の一部は肝臓でグルコースとなり、再び速筋で再利用されます。

つまりこの乳酸シャトルが効率的であるほど、有酸素運動能が高いことを意味します。

これを踏まえてLTを高める練習としてどのようなアレンジが考えられるか、いくつか例を紹介します。

閾値走のアレンジ例

リチャード・A・ラベット氏のアレンジ

米オレゴン州のランニングクラブのコーチであるラベット氏はOBLAよりも速いペースと遅いペースを交互に繰り返す変化走を推奨しています。例えばvOBLAがキロ4なら、3’55″/kmと4’05″/kmを行ったり来たりするイメージ。

これにより、OBLAより速いペースならより乳酸が蓄積され、OBLAより遅いペースならOBLAペースよりも多くの乳酸を遅筋で使用するため、より遅筋の代謝能力を向上させる狙いがあるようです。

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ダニエルズ先生の20分以上のテンポ走

ダニエルズ先生は著書で「20分以上持続するテンポ走の効果について確信がある」と述べています。

持続時間を長くする場合は、20分走でのTペースでより若干遅くなり、60分ではMペース付近まで落とす設定となりますが、これもLTを向上させる(遅筋の代謝能力を向上させる)効果があるようです。

また、ダニエルズ先生はTペースとMペースを行き来する練習も推奨しており、これも上記のラベット氏が意図するような効果を狙ったものだと思われます。

この練習、M→Tは上げられるがT→Mにしても楽にならないという評判でものすごくきつそうです。私はやったことがないのですが、いつか挑戦してみたいと思います。

まとめ

  • オリジナルの閾値走はOBLAで20分だけど、それ以外にも様々なバリエーションが考えられるよ
  • OBLA前後で上げ下げすることでより遅筋の代謝能力を刺激する方法も考えられているよ
  • 20分以上のテンポランでTペースより落として実施するのもいいよ
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ごっきー
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