【ダニエルズ式】10km40分切り練習例

スポンサーリンク
目標タイム別練習法
この記事は約7分で読めます。

ダニエルズ式トレーニングによる目標タイム別攻略シリーズ。今回は10kmで40分切りを達成するための練習例についてまとめようと思います。

スポンサーリンク

10km40分切りの難易度

10kmを40分を切るということは単純計算で平均キロ4分以内で10km走るということです。そのためほとんどのラップをキロ4以内で走る必要があるため、かなりのスピード持久力が要求されます。

VDOT的にはサブ3より簡単と言えますが、スタミナ型の方は40分切りよりもサブ3の方が簡単という方もいると思いますし、逆にスピード型の方では10kmで40分は切れるけどサブ3は無理という人もいるでしょう。

また、10kmが40分台か30分台かで見栄えが違いますから、ぜひとも達成しておきたいという方も多いと思います。

VDOTで見る10km40分切りに必要な能力

10kmでギリギリ40分切りのVDOTは52.0なのでこのトレーニングペースを求めてみます。

VDOT52.0(10km:39’58″)
ランニングエコノミー補正+0%
(VDOT52.0)
ランニングエコノミー補正+4%
(VDOT50.0)
Eペース4’58”-5’28″/km5’06”-5’38″/km
Mペース4’22″/km→3:04’32”4’29″/km→3’09’47″/km
Tペース4’07″/km4’15″/km
Iペース3’48″/km3’54″/km
Rペース3’33″/km3’36″/km

レース時にランニンエコノミー補正がない場合はフルの等価タイムが3時間4分台ですからやはりVDOT的にはサブ3よりはやや簡単と言えるかもしれません。

一方、レース時にスーパーシューズを使用するなどランニングエコノミー補正がある場合は、補正がない場合よりもある程度遅くても達成できると思います。上の表は4%の恩恵が受けられる場合の机上計算です。

それでは各ペースについて見ていきます。

Eペース:心血管系の能力向上

有酸素運動能の基礎を作る練習です。練習の半分以上はこのペースで走ることになりますが、主に毛細血管の発達、ミオグロビン増加、ミトコンドリア増加など抹消系の発達に寄与するため重要な練習となります。

普段のジョグは速くてキロ5前後、遅くとも5分半以内では走るようにしておきたいです。このペースがきついようなら落としても問題ないとは思いますが、時間効率が落ちる可能性はあると思います。

また10kmレースがターゲットだとしても週に1回は25km以上のロングランも有効だと思います。

Rペース:ランニングエコノミー、無酸素運動能

Rペースの目安が3’33″/kmなので、1km全力で走って3分半切れればスピードは足りていると言えるので、目標達成を急ぐならこのフェーズは飛ばしても問題ないでしょう。

1km3分半が無理な場合は練習として400mを84秒以内のレペティションを繰り返していきましょう。ウェイトやプライオメトリクストレーニングもランニングエコノミーを高めるためには有効です。

Iペース:有酸素運動能の上限(VO2max)

5000mと同様、10kmでもVO2maxインターバルは重要な練習です。Iペースの目安は3’48″/km。3’50″/kmを切るペースのでなかなかきついですが、サブ3を目指すうえでもこれより速いインターバルはほぼ必須だと言えるのでその前段階として取り組むのがいいと思います。

具体的な練習メニューとしては1km x 5~6(3分レスト)や、400m x10~12(疾走90秒、レスト40秒)など。

Tペース:スピード持久力(LT)

10kmの場合のレースペースはIペースよりもTペースの方が近いので、5000mよりもLT付近の比率をやや高めるのが有効だと思われます。

Tペースの目安は4’07″/km。Tペースはレースなら60分程度持続する強度ですから、10km40分を目標にする場合は目標ペースであるキロ4よりやや遅くなります。

そのため、練習での20分走やクルーズインターバルではこのペースである程度余裕があるのが望ましいでしょう。

また、テンポ走やクルーズインターバル意外には、Tペース前後で1km毎にペースを上げ下げするという練習もより酸化系代謝能を刺激するという意味では有効だと思います。

練習例

上記の要素を鍛えるための具体的な練習の組み方ですが、ダニエルズ先生の期分けに従うとフェーズⅠはEペースのみ、フェーズⅡはE+R、フェーズⅢはE+R+I、フェーズⅣはE+R+I+Tとなります。Iペースは基礎が十分にできている場合は省略します。

以下はレースまで2ヶ月ほど9週間ある場合を想定し、フェーズⅡ~Ⅳまで各3週間ずつ取り組む例です。

フェーズⅡ(E+R):3週間

曜日ポイント練習練習内容
DAY1Q1:ロングラン5’00″/km x25km
DAY25’00″/km x10km、WS x5
DAY3Q2:レペティション(200m(42″)・ジョグ200m)x8
(400m(84″)・ジョグ400m)x4
DAY45’30″/km x10km 、WSx5
DAY55’30″/km x10km
DAY6Q3:レペティション
+LTインターバル
(200m(42″)・ジョグ200m)x3
(1.6km(4’07″/km)・休息1分)x2
(200m(42″)・ジョグ200m)x3
DAY7休み

Rペースによるレペティションがメインの期間です。Q3の例のように時折Tペースを組み合わせるのは、レペティションで生じた乳酸をLT走によって効率的に使う能力を高めることが期待され効果的です。

フェーズⅢ(Iメイン+E+R+T):3週間

曜日ポイント練習練習内容
DAY1Q1:ロングラン5’00″/km x25km
DAY25’30″/km x10km、WS x5
DAY35’30″/km x10km
DAY4Q2:VO2maxインターバル(1.2km(3’48″/km)・ジョグ3分)x5
DAY5Q3:LTインターバル(1.6km(4’07″/km)・休息1分)x5
DAY65’30″/km x10km、WS x7
DAY7休み

VO2maxインターバルがメインのフェーズ。5000mと同様に重要な練習ですが、Q3のLT走の比重は5000mより重要になるので、バランスが難しいところです。

フェーズⅣ(Tメイン+E+R+I):3週間

曜日ポイント練習練習内容
DAY1Q1:ロングラン5’00″/km x25km
DAY25’30″/km x10km、WS x6
DAY3Q2:LTテンポ走4’15″/km x 40分
DAY45’30″/km x10km
DAY55’30″/km x10km
DAY6Q3:VO2maxインターバル(1.2km(3’48″/km)・ジョグ3分)x5
DAY7休み

LT走がメインの練習になるのでQ2に最も集中します。この練習例ではTペースよりやや遅めの40分走のメニューを入れてみましたが、時間やペースはお好みでいいと思います。Q3のVO2maxインターバルも継続してフェーズⅢで鍛えた能力を落とさないようにします。

週間走行距離は各フェーズとも75km程度を想定しています。

最終的に目指すペースで記載していますが、いきなりこのペースが無理な場合はできるペースから徐々に上げていきます。VO2maxインターバルの場合は1000mが無理なら400mなどのショートインターバルからやるのもオススメです。この場合、400mのペースは1000mのときと同じか-1″/400mくらいのペースでいいと思います。

なかなか目標に到達しないなら、Eペース量を増やすのもオススメです。同じペースで走るときの心拍数が下がるはずです。

レース本番の走り方

最初の3km

どの距離のレースでもそうですが突っ込みすぎないように。冷静に楽に入るのが結果的にいいでしょう。最初の1kmはどうしても速くなりがちですが、あくまで10kmを大きく落とさずに走りきれるイメージを持てるペースでないと感じたら迷わず落とすべき。先はまだ長いです。

序盤はまだペースも安定せずに集団も流動的なので、そこまで集団を気にする必要はないと思います。

3km~8km

いかに良い集団に入って楽できるかが重要な区間です。良い集団に入れなくても、前方から落ちてくる人もいるでしょうからうまくターゲットを切り替えつつ、少しでも前を追うイメージで走れれば

後半になるにつれ、ペースを維持するのに必要な努力感も増えていきますので、そうなったときに競り合う人が近くにいるだけでだいぶ違います。

6~7kmくらいが精神的にも一番きついところだと思いますが、集団や前の目標の力を借りてなんとか耐えましょう。

ラスト2km

残り距離が少なくなれば普段の練習の距離からどれだけいけそうかイメージしやすいですから、持てる力を振り絞っていきましょう。前のきつそうな選手は全員抜くつもりで切り替えられればベスト。

まとめ

  • 10km40分切りはサブ3前の節目となるいい目標だけどスタミナ型の人にとってはサブ3より難しいかもしれないよ
  • 5000mと比べてVO2maxインターバルよりLT走の方に若干比重を置いた方がいいかもしれないよ
  • レース本番では6~7km付近からきついと思うけど、集団や前方のターゲットの力を利用して耐えればきっと目標を達成できるよ

コメント