【ダニエルズ式】サブ40(2時間40分切り)練習例

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目標タイム別練習法
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今回はサブ40の攻略法についてです。サブ45相当の走力(VDOT59.3)に到達している方が対象です。このレベルになると全てのランナーが目指せる目標ではないかもしれませんが、故障せずに少しづつ積み上げていけば、突破口が見えるかもしれない、そんな壁だと思います。

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サブ40というステータスについて

さて2時間40分切りですが、サブ50、サブ45を達成した方にとって次の目標になるタイムだと思います。やはり2時間40分台と30分台では見栄えが違いますし、大きな節目と言えるでしょう。

2時間40分をクリアすることによって防府読売マラソンのカテゴリ1の参加資格を得られます。 また2010年~2015年の福岡国際マラソンBグループ参加資格タイムでした (2010年~2012年は2時間42分) 。

ご参考までに私の体験談はこちらです。

【過去の振り返り】初サブ40まで【その7】
初サブ45 から初サブ40までの2年を振り返ります。

サブ40の難易度

まず難易度について。パーセンタイルについてサブ40で区切っている統計が見つからなかったので推測ですが、おそらく男性は0.6%前後(サブ45が0.8%)、女性は0.1%未満でしょう。

0.6%がどれくらいの難易度かというと、例として適当かわかりませんが母集団が正規分布だと仮定したときの偏差値換算が約75に相当します。国公立大学の難関医学部は厳しいかもしれませんが、医学部以外ではほぼ合格圏内でしょう。

別の例を出すと、いわゆる1万時間の法則というものがあります。ある分野に1万時間を費やせば上位1%に入れるというものですね。ここまでは努力で到達できるけど、上位1%から先は才能がモノをいう世界、とも言われます。つまりこのあたりになると誰でも努力すれば到達できる、とは言えない世界かもしれません。

また、大学まで陸上競技を続けてきて箱根駅伝予選会のタイム(数年前まで5000m16分半以内、現在は10000m34分以内)をクリアしていたような選手でも、ある程度マラソン練習を積んだうえで失敗することがあると思います。それくらいの難易度です。

女性については、一線級ではない実業団選手がだいたいこのあたりで走っている事が多いです。そのため実業団レベルの才能と練習量・質が必要になると思います。女子の実業団は男子に比べると裾野も狭く層は薄いですが、それでも市民ランナーがここに入るのはとんでもない才能だと思います。

サブ40のVDOTとその練習ペース 

サブ40のVDOTは61.5になります。各ペースがサブ45のときからほぼ-6″~8″/kmとなっています。このあたりになるとキロ1秒削るのもきつくなってくる方が多いと思います。

サブ40の各練習ペース(VDOT61.5)
Rペース3’04″/km
Iペース3’19″/km
Tペース3’36″/km
Mペース3’47″/km
Eペース4’20″/km-4’36″/km

ダニエルズの練習ペースについての詳細は以下の記事も参考にして下さい。

各ペースの到達度確認と達成のための練習

第一段階:Rペース

いつもの通りR(Repetition)ペースから見ていきましょう。3’04″/kmとほぼキロ3ですね1500mなら4’36”に相当します。1500mを専門的に練習すればおそらく4分半も切れるレベルだと思います。

まずはこのレベルで走れないとIペース以降が厳しくなりますので、しっかりとこのスピードで走れるようにレペティショントレーニングを重ねることを推奨します。

筆者の知人で専門的な練習一切なしで1500mを4分半切ったというバケモノがいますが、おそらくそんな飛び抜けた才能は上位1%未満だと思います。そのような例を除けば地味にレペティショントレーニングを重ねることが有効です。私もサブ40を狙うフェーズではとにかくこのレペティションが重要な役割を担ったと感じています。

練習方法としては、73″/400m x12などがメニュー例として挙げられます。リラックスしてこのスピードが出せるのが理想ですが、最初のうちは力が入ってガチガチになるかもしれません。補強としてウェイトトレーニングも効果的だと思います。

第二段階: Iペース

次にI(Interval)ペース。 3’19″/kmのインターバル走がこなせるレベルが目安です。これは5000m 16’41″前後の走力に相当するVO2maxが要求されます。

スタミナ型で5000m16分台が出せなくてもフルで2時間40分を切れる人はいますが、平均的なタイプだとやはり16分40秒台はほしいと思います。

練習では3’20″/kmがとにかく目安になるでしょう。 3’25″/kmまでこなせるようになっても3’20″/kmが遠いという方も多いと思います。

サブ45の記事でも書きましたが、このレベルになってくるとVO2maxそのものを上げるよりもレペティションでランニングエコノミーを磨いてVO2maxで走れる速度、vVO2maxを向上させるのも重要になります。 速度 vs VO2のグラフの傾きを下げるイメージですね。

また、同じくサブ45の記事でも書きましたが、このレベルになるとインターバル走の疾走は1200mをオススメします。 3’20″/kmだとちょうど1200mが4分なのでわかりやすいです。 VO2maxの刺激時間が1本あたり2分なので、5本でちょうど10分と計算もしやすいですね。

また到達度を実践で測るためにも5000m記録会にも積極的に参加されることをオススメします。

ここまでのRペース、IペースでのトレーニングでしっかりとvVO2maxを鍛え、5000mで16’40″前後を狙ってみてください。

第三段階:Tペース

ここからスピードに加えて持久力が問われるフェーズです。T(Threshold)ペース3’36″/kmで20分走が目標とする練習レベルになります。

Tペースでの練習はvVO2maxからみたLTの割合(%vVO2max)を引き上げることに繋がるので、サブ45レベルの3’42″/kmペースから始めて、最後まで落とさずに走れる20分テンポ走のペースから徐々に3’36″/kmを目指してください。

またテンポ走のバリエーションとしてはMペースの60分走というパターンもありですね。この場合は3’47″/kmで60分もいい練習となると思います。

テンポ走が苦手な場合はクルーズインターバルという手段もあるので、こちらも併用すると効果的かもしれません。

レースで到達度を測るには10km~ハーフのレースが適当だと思います。10kmは34分台、ハーフは1時間16分前半はほしいところですね。

第四段階:Mペース

いよいよ仕上げとなります。サブ40ペースである3’47″/kmでのロング走ができるかどうか。これも繰り返しになりますが、本番前に1回できていれば十分かと思います。脚作りのためにロング走は何本かこなしておく必要はありますが、ロング走自体はMペースにこだわりすぎる必要はないと思います。

当ブログでも何度か書いていますが、Mペースの生理学的な練習効果はEペースと大差なく、主に脚作りと精神的に自信がつく効果が大きいです。そのため本番でしっかり疲労が抜けていれば全然走れる、という意識が持てれば、多少はMペースから落ちたとしても問題ないと思います。自信をつけるという効果を最大限得るにはやはりレースペースでしっかり走り切るというのは重要ですが、必須条件ではないです。本番効果で練習でも走れなかったペースで走りきってしまった、という経験がある方も多いでしょう。

また、走力が上がれば上がるほどMペースでのロング走はダメージも大きいので、他の練習に影響も残ります。トップ選手でもMペースからキロ30秒落ちでロング走をしているケースが多いです。

全フェーズと並行してEペースでのジョグ

普段のジョグはE (Easy) ペース4’20“/km-4’36″/kmくらいを目標にしましょう。

下限が4’36″/kmということで、それなりに速いですがジョグでもHRmaxの65~70%前後は保つようにしましょう。Iペースがなかなか上がらないと思ったら、Rペースに戻るという選択の他にもEペース量を増やすことも考慮に入れるべきだと思います。Eペース量の増加は心血管系を強化しますので、同じペースで走るときの心拍数の低下という反応が見られると思います。そのため以前と同じペースでもHRmaxまで余裕ができ、スピードを一段階押し上げる基礎が整ってきます。

上記全てをクリアしてもサブ40達成できない場合

上記各フェーズを練習で全て達成できれば、レース本番ではサブ40を達成する確率はかなり高いはずです。もしダメだったとしても、ここまでサブ45を達成された変態ガチランナーの皆さまなら、何がダメで達成できなかったのかを分析する力は十分にあることでしょう。

自分の長所・短所を分析して自分に合ったトレーニングにアレンジしてみてください。

コースや天候にも大きく左右されるので最後は運も絡みます。みなさまの幸運を祈ります。

練習例

週間練習パターン

  • 月:Eペース走18km(4’36″/km)
  • 火:休足
  • 水:ポイント練1
  • 木:Eペース走18km(4’36″/km)
  • 金:休足
  • 土:ポイント練2
  • 日:ポイント練3 or Eペース走18km (4’20″/km)
  • 週間80km~120km

ポイント練(スタミナタイプ)

レース4ヶ月前400mレペティション(73″/400m)
レース3ヶ月前1200mインターバル走(3’25″/km)
レース2ヶ月前1200mインターバル走(3’20″/km)
20分テンポ走(3’38″/km)
30km走(4’15″/km~4’00″/km)
レース1ヶ月前20分テンポ走(3’36″/km)
30km走(4’00″/km→3’50″/km)

ポイント練(スピードタイプ)

レース4ヶ月前1200mインターバル走(3’22″/km)
レース3ヶ月前1200mインターバル走(3’18″/km)
20分テンポ走(3’40″/km)
レース2ヶ月前20分テンポ走(3’38″/km)
30km走(4’15″/km~4’00″/km)
レース1ヶ月前20分テンポ走(3’36″/km)
30km走(4’00″→3’50″/km)

例によってポイント練に関してはスタミナタイプの方とスピードタイプで分けてみました。必要なポイント練も増えてくるでしょうから、週2で足りない場合は週3でポイント練を設定するのも考慮に入れるべきだと思います。

ちなみにややスタミナ型の私のサブ40体験例では、Eペース量の増加(週間100km目安)と、レペティションへの取り組みの2つが重要だったと感じています。もちろんインターバル、テンポ走、ロング走は十分にこなしている前提です。

平均的な練習量としては、週間80km~120km、月間320km~450km超あたりが目安になるかと思いますがもちろん個人差も大きいのであくまで目安。サブ45の記事でも書きましたが、Eペース量はポイント練に影響しない範囲で増やせるなら増やした方が器は大きくなると思います。

月間400km超ともなると、時間を捻出するために家事育児や仕事のマネジメントも重要になりますし、ストレッチなどのセルフケア、食生活、睡眠、BCAA・プロテインなどの補助食品等、生活をラン中心にする必要があります。飲酒もランナーにとってリカバリが遅れるなどマイナスになる面が多くプラスになることはないと思うので避けるべきですね。

そして今まで書いてきませんでしたが、最も重要なのは故障をせずに練習を積み上げること。故障をすると積み上げがリセットされてしまうので、とにかく故障のリスクは避けるべきです。ただ、自分の限界を破るために無茶な練習をしたい気持ちも大変よくわかります。しかし結果的に故障してしまうと目標に対して遠回りになってしまうので、少しでも練習中に違和感を感じたら中断して様子を見るようにしましょう。

私?ええ、↑の段落については全くできていません(戒め)

まとめ

  • サブ40はおそらく全てのランナーが目指せる領域ではないけどサブ45まで来たなら挑戦したいよ
  • 5000m16分台のスピード(Iペース3’20″/km)、ハーフ76分前後のスピード持久力(Tペース3’36″/km)が求められるよ
  • 故障せずに積み上げていくのが何よりも重要だよ

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