リスト型の活動量計を使っている方は多いと思います。この40年間で活動量計を使う人は3倍になり、2050年には男性の60%、女性の50%が使用するだろうという予測もあります。
また最近のGPSウォッチは心拍計を内蔵しているものが多く、ランによる消費エネルギーを推定してくれますので、この値を参考にしている方も多いでしょう。
活動量計が消費カロリーを推定する仕組みは、心拍数・加速度・体温の主に3つのパラメータを入力とした数理モデルを用いているものと思われますが、その精度がどの程度か気になる方は多いと思います。
今回はこの疑問に答えるメタ解析文献について紹介します。
解析方法
活動量計デバイスでの消費エネルギー推定と、実際に測定した消費エネルギーの差を比較した64文献を抽出してメタ解析を行います。
総被験者は1946人、平均年齢は35歳(20-86歳)、平均BMIは24.9(21.8-31.6)。
活動量計については心拍数、加速度計、体温のいずれか、もしくは全てで消費エネルギーを推定するデバイスを対象とし、実際の活動はランニングやサイクリング等の激しいものから安静時まで様々な活動が含まれます。
活動量計デバイスについては加速度計のみのものが35、心拍数計のみが1、加速度計+心拍数計が20、加速度計+体温計が45、3つすべてを持っているものが3という内訳でした。
比較対象となる実際の消費エネルギーについては 二重標識水法という水素と酸素の安定同位体を使った測定方法で見積もるようです。
比較結果
全体
まずは全体の結果から。数値は平均値の差を標準偏差で割って正規化したもので、左にいくほど過小見積もり、右にいくほど過大見積もりを表しています。
一番左のカラムはデバイス名の略で、有名なものだとAW、AW2がApple Watch、FがFitbit、GがGarminですね。
全体で見ると平均ES(デバイスによる見積もり値)-0.23とほぼ実測値に近いややUnderestimate(過小見積もり)気味ですが、デバイスによってバラツキが大きいです。
歩行と階段登り運動の場合
平均ES-0.09と平均値は実測値に近いですが、こちらもかなりのバラツキがありますね。
サイクリング
平均ES-0.73と大幅に低く、サイクリングでは特に過小見積もりしやすい傾向のようです。これは腕の動きがほぼなく、加速度センサーが意味がないものになっているためだと考えられます。
ランニング
平均ES-0.08とこれも実測値に近いです。ランニングも下肢の運動がメインですが腕振りが伴うので、サイクリングよりは見積もり精度が高くなると思われます。
安静時および家事など
平均ES-0.09とこれも実測値に近いですがやはりデバイスによってバラツキが大きいです。安静時ではやはり加速度センサからの情報はないため、過小見積もりする傾向があるようです。
センサーとデバイスのグレードによる比較
センサーに関しては加速度計単体よりも心拍数や体温の複数パラメータによる推定の方がより精度が高い傾向があることがわかります。
デバイスグレードに関して、商用のもの(58)と、研究開発段階(46)のものの2通りに分けた評価をしています。一般的に商用のものは価格を抑えるために機能は少なめで、研究開発中のものは多機能にする傾向があるはずで、研究開発中のものの方が高い精度が期待されます。
しかし、今回の検証では特に安静時・家事時の評価で商用デバイスの方が精度が高かったようです。
感想
活動量計は高いものから安いものまで様々なものがありますが、とりあえず心拍数と加速度センサである程度の精度は期待できるみたいですね。ただ運動の種類(特に腕を使うかどうか)による影響も多いようです。
GPSウォッチなどある程度ランニングに特化しているデバイスはランニングの消費エネルギーの算出にも特化しているでしょうから、汎用の活動量計よりは精度が高い可能性はありそうです。そのあたりは個別の研究があるかもしれません。
まとめ
- 活動量計が推定する消費エネルギーはやや過小見積もりする傾向があるし、デバイスごとの差も大きいよ
- 心拍数と加速度センサで推定するものは比較的精度が高そうだよ
- 運動の種類によっても精度が変わる傾向があり、特に自転車など腕の運動がない場合は特に過小評価しやすいみたいだよ
Xiaomiのこの活動量計は価格帯のわりに高性能でかなり評判良いみたいで少し気になってます。
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