学生時代に陸上競技経験がなくて、社会人になってからランニングを始める方のほとんどが健康目的だと思われます。私もそうで、最初はゆるいジョギングから入ってだんだん長く走れるようになるのが楽しくて、3年くらいかけてマラソンを走るようになりました。
適度な運動は健康にいいことは誰もが認めるところですが、 健康目的のジョギングに飽きて徐々に記録志向に走り、ハードな練習をこなすようになる方もいるでしょう。ハードな練習をするほどフリーラジカルが生成され老化を早める可能性も指摘されており、元々健康目的のはずが逆に健康に悪いことになっていないか、気になる方も多いと思います。
今回はランニングが健康に及ぼす影響について230,000人にも及ぶメタ解析を行った文献を紹介します。
調査方法
ランニング習慣の有無による死因についての追跡調査を行った文献について、その死因やがん罹患リスク等の関連を調査した14文献を抽出し、トータルで232,149人について5.5年~35年の追跡調査の結果を得て分析を行いました。
メタ分析結果
232,149人の5.5年~35年におよぶ追跡調査で25,941名が亡くなりましたが、ランニング習慣があるクラスタでは全死因について27%の低下が見られました。心血管系の疾患では30%、がんでは23%の低下が見られたようです。
下図は左側がランナー、右側が非ランナーで死亡リスクの低さを表しています。全ての研究でランナーの方が死亡リスクが低いようです。
一方、週ごとの頻度や量、ペースについて有意な差は見られなかったようです。つまりやりすぎてもそれほど健康にそれほど影響はないことが示唆されます。
下図は左上が週の頻度、右上が運動時間、左下がペース、右下が消費エネルギーで縦軸はそれぞれ死亡リスクを表します。どれも有意な傾向はなさそうです。
感想
よく人間の寿命について心臓の総心拍数で決まっているからランニングのやりすぎは早死する(一説に総心拍数が15億回)と言われることもありますが、そのようなことはなさそうですね。
ランニングによって体型を保てれば生活習慣病のリスクはかなり減らせますし、結果的にそれが死亡リスクを下げることに繋がるのでしょう。
まとめ
- 健康目的でランニングを始めたけど、ジョギングに飽きて記録志向になる方は多いよ
- ランニングのやりすぎは早死にすると言われることもあるけど、研究結果からはそのような傾向はなさそうだよ
- 頻度や量、ペースなどで見ても死亡リスクとの相関はなさそうなので、やりすぎると健康に悪いとも言えないよ
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