シューズは軽ければ軽いほど良いのは多くの方が感じることだと思います。多くの研究ではシューズの重さ100gにつき、ランニングエコノミーが1%低下すると報告されています。先日の第39回つくばマラソンでも雨でシューズが濡れて重く感じた方も多いでしょう。
Ultra Projectの新澤さんの記事によれば、ヴェイパーフライNext%が水に濡れると重さが40gほど増加するようです。フライニットだとさらに水分を吸収しやすく60gほど。靴下の濡れも含めたら100g以上は増量しているかもしれません。それでも1%のランニングエコノミーなんて誤差じゃないのと思うかもしれませんが、じゃあ100g重い靴を履きますかと言われたら絶対に嫌でしょう。明らかに体感で影響する重さです。
つまりヴェイパーフライが改善するとしている4%という効果は、シューズの重さだけに換算すると400gに相当するとも言えます。いかにアドバンテージがあるかこれだけでもわかると思います。
一方、究極の軽量シューズと言えば裸足です。その重さ0g。ですが、裸足ランは痛そうですし着地衝撃も大きく、多くの方は足を保護できるシューズを履いてのランを選ぶでしょう。
ところが世の中には裸足ランの愛好家も多くいて、先日の第39回つくばマラソンでは2時間39分台で走った猛者がいたようです。どうやらこれは裸足ランの日本記録だとか。
ではシューズを履いてのランと裸足ラン、どちらがランニングエコノミー的に優れているのか?
その疑問について検証した文献について紹介します。
検証方法
裸足ランニングの経験のある12名の男性について、トレッドミル上で裸足と150gのシューズそれぞれについてミッドフットで3.35m/sの速度で走り、そのランニングエコノミーを比較しました。
さらにシューズと裸足について150gずつ重りを足していき、その影響を測定しました。
結果
下図の通りで、裸足ラン(Barefoot)とシューズ(Shod)を比較するとシューズの方がVO2が低い、すなわちランニングエコノミーが高いと言えます。その差は3~4%。
重りを増やしてた場合のVO2増加率を見ていくと、裸足の場合は0.92%/100g、シューズの場合は1.19%/100gとやや裸足の方が増加率は低いと言えます。
3~4%の差と言えば、裸足 vs 150gのシューズの差はNike Streak 6とヴェイパーフライ4%の差とほぼ同等と言えます。
裸足ランの人がヴェイパーフライを履いたら最大で10%くらいランニングエコノミーが変わるのかもしれません。10%は重さに換算したら1kg。裸足ランとヴェイパーフライを同条件にしようと思ったら、ヴェイパーフライに1kgの重りを足してやっと同等と言えるかもしれません。1kgのシューズなんてまともに走れる気がしませんね。
シューズの方が重くてもランニングエコノミーが良くなる理由
シューズのメリットは反発性とクッション性。
今回の実験でもシューズの方がベアフットと比較してストライドが3.3%伸びたそうです。これは反発性の恩恵でしょう。
また、クッション性に関しては裸足ランの場合は着地衝撃を直接受けるため、衝撃を和らげるための筋肉が働きます。そのため、シューズと比較すると余計に代謝コストがかかりランニングエコノミーが落ちるようです。
ヴェイパーフライはこの反発とクッションを高い次元で両立させたシューズですので、裸足と比較すると1kg分の差があると言われても何となくわかる気がします。
まとめ
- 裸足ランとシューズランを比較するとシューズランの方がランニングエコノミーが3~4%いいよ
- 裸足ランは反発もないからストライドも落ちるし着地のために筋肉も動員するから代謝コストが大きくなるよ
- ヴェイパーフライと裸足ランのランニングエコノミーの差は10%近くにもなると思われるので、裸足ラン愛好家の方達はすごいよ
コメント