一般的にほとんど全てのスポーツでは男性の記録の方が女性よりも良い傾向にあります。
ところが300km以上のウルトラマラソンをはじめ、ドーバー海峡遠泳(54時間で2往復www)、ヨーロッパ大陸横断の自転車レースなどでの超耐久系レースでは女性が男性を抑えて優勝しているようです。
その点についてCanadian Running Magazineに興味深い記事が載っていたので紹介します。
ウルトラマラソンの統計分析の例
こちらの記事では過去23年間のウルトラマラソンの記録を調査してまとめています。15,451大会における500万件の結果を分析したそうです。
これによれば、195マイル(約320km)以上の距離では女性の平均タイムが男性の平均タイムより速いそうです。
なお5kmレースでは男性の方が17.9%速く、42.2kmでは11.1%とやや縮小し、100マイル(約160km)ではその差は0.25%まで縮小するようです。
そういえば2019年の24時間走世界選手権では男性の優勝者が278kmだったのに対して女性の優勝者は270kmとかなり肉薄して話題になりましたね。
他にもウルトラマラソンの詳細な統計分析がされていますので興味がある方は元記事を見てみてください。
男性を抑えて耐久レースで優勝した例
2019年1月にイギリスの Montane Spine Race という山岳耐久レースでJasmin Parisという女性が男性を抑えて優勝しました。このレースは268マイル(429km)で累積獲得標高差11,000mというクレイジーなレースですが、83時間12分で走破し、2位の男性を15時間も離したそうです。
科学的な説明は可能?
Guardian紙の元記事にこのような逆転現象が起こる一因についての考察があったので要約します。
男女の運動能力について、10歳前後まではほとんど差がないようです。その後思春期に入り、男性ホルモンのテストステロンがその差を決定づけます。
とある研究ではランニングからスピードスケートまで82種類のスポーツの記録を調べたらその全てで9~11%女性の方が遅いです。
このように男性ホルモンがもたらす圧倒的な利点が、超耐久系競技で覆るような理由があるのか?
スポーツ科学者のロス・タッカー氏によれば、これらの超耐久イベントがニッチすぎてサンプルが少なすぎることに起因するのではないかと指摘しています。
ただ、長距離遠泳に関しては女性の体脂肪率の高さが浮力となり、冷水に対する断熱にもなるので運動能力を相殺する可能性を指摘しています。
地上のレースでは女性の体脂肪率の高さがスタミナに起因しているのではないかという説もありますが、これは女性と同程度に体脂肪率が高い男性にも当てはまるので事実ではないようです。
100mから90kmまでは男女差は大きいようですから、そこから先はまだ科学で解明できていない要素があるのかもしれませんね。
まとめ
- 300km超のウルトラマラソンなど超耐久系のレースでは女性が男性を抑えて優勝することがあるよ
- 100kmくらいまでは男女差は大きいけど、そこから先は統計的に見ても徐々に差が縮まってくるよ
- ニッチ過ぎてサンプル数が少ないのが一因かもしれないけど、科学で解明できていない何かがあるかもしれないよ
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