Tペースとは
TはThreshold(閾値)の略だ。閾値を刺激するペース、という定義になる
閾値って何のことだお
一般的に言えばある点を超えるとスイッチが入って急激に反応が進む点、といえばいいかな。ここでは乳酸の閾値:Lactate Thresholdのことですよね
そうだ、運動強度を上げていくと血中乳酸濃度が2mmolを超えて3mmolあたりで急に上昇するポイントがある。この変換点が閾値だ。
Mペースより速いってことかお
そうだ、言わば快適なきつさ、と感じるペースだ。終わるのが待ち遠しいペース、とも言える。確かに、比較的速く走ってはいるが、そこそこの時間(練習なら20分~30分)維持できる、というペースだ。
レースなら休養をとってピーキングすれば60分間は維持できる。つまりエリート選手ならばちょうどTペースでハーフマラソンが走れるということだ。
Tペースの目的
いつもの通り、目的を教えてくれお
血中の乳酸を除去し十分処理できる濃度に抑える能力を高めるために行う。持久力を向上させるために行うと考えれば良い。
いわゆるバケツ理論で考えるとイメージしやすいですかね。蛇口から水が出ていて、その下に穴の空いたバケツが置いてある
蛇口は解糖系代謝でエネルギー変換効率はいいがものすごく乳酸が出る。下のバケツの穴が酸化系代謝で乳酸をエネルギーに変換するが、運動強度が上がるにつれてどんどん乳酸が溜まる
なんか難しいお・・・
Tペースのトレーニング効果はこのバケツの穴の大きさを広げる効果、というイメージですかね
Tペースの%vVO2maxによる定義
%でいうとどれくらいなんだお?
86~88%VO2max、88~90%HRmaxだ。
これは十分にトレーニングを積んだランナーの場合であるが、そうでないランナーでも80%を超える
ついに90%まできたお・・・こんなの絶対辛いお・・・
Tペースでの走り方
Tペースには2通りの走り方がある。1つはテンポ走で、もう1つはクルーズインターバルと呼んでいるものだ
どちらも日本ではあまり聞き慣れない言葉ですね
そうかもしれない。テンポ走は20分ほど続ける持続的なランニングだ。短い距離のペース走と言ってもいいかもしれない。
クルーズインターバルはTペースランニングを短い休息をはさみながら何本か繰り返すことになる
次回出てくるであろうIペースでのインターバルよりもペースは遅く、距離は長く、休足も短いという練習ですね
Tペースランニングの上限
Tペースランニングの上限はどのくらいでしょうか
週間走行距離の10%以下が望ましい
週間100km走る選手なら10kmまでですね、わかりやすい
1回の練習は20分を勧めている。クルーズインターバルの形で分割するなら30分間は走りたいところだ
Tペースの練習のバリエーション
テンポ走に関してよく問題となるのはその持続時間であり、人によっては16kmのテンポ走、60分のテンポ走という言い方をする指導者や選手もいるが、大抵はペースを途中で変えている。私がテンポ走と定義しているものは最初から最後までTペースで走り切る練習である
クルーズインターバルはどんな距離と休息でやればいいのかお
1.6kmの疾走と1分の休憩を5セットや3.2kmの疾走と2分の休憩を3セット、などだ。
このほか、マラソンのトレーニングに適した方法もある。Mペースランニング中にTペースを2本入れる練習だ。
例えばMペース12.8km→Tペース1.6km→Mペース6.4km→Tペース1.6km→Mペース1.6kmの24km走だ。
Mペース→Tペースはいけそうですが、Tペース→Mペースがきつそうですね
他には何か注意点があるのかお
私が推奨するクルーズインターバルの運動時間と休息時間の比は5:1だ。
1.6km疾走の場合は1分休息、3.2km疾走の場合は2分休息が適当だろう。
まとめ
Tペースランニングは苦手な人も多いと思うが、800mからマラソンまで重要な練習なのでぜひ取り組んでほしい
BU走などもTペース前後で行う場合が多いですかね
やる夫も苦手だけどがんばってみるお!
次回はIペースだ。長距離走のトレーニングで最も重要と言ってもいいインターバルトレーニングだが、このトレーニングほど解釈の幅があるトレーニングもないだろう。
ペースと疾走時間と休息時間の設定が難しいですよね・・・
私の定義に従えばその点は迷わなくなるはずだ、しっかり予習しておくように。
つづく・・・
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