運動の前後に故障予防目的でストレッチをするという方は多いと思います。 ところがこれらのストレッチは故障予防には効果がないという考え方が最近は主流で、そのような情報を目にする機会も増えてきたのではないのでしょうか。
今回はその根拠となった文献を簡単に紹介していきます。
運動前のストレッチ
以前は運動前のストレッチは怪我の予防に重要であると信じられていました。ただ近年の研究ではそのような科学的根拠はないということが明らかになっています。
大元になった文献はおそらくこちら。
この文献で主に主張されているのは
- ほとんどの負傷は正常な可動範囲内で発生するため、運動前に可動域を広げても故障を防ぐことはできない
- 穏やかなストレッチでも細胞骨格レベルで損傷を引き起こす可能性がある
- ストレッチが疼痛耐性を高めるため、それが障害を助長する可能性がある
とのことです。そのため、運動前にストレッチをする利点は特にないようです。
では運動前には何をすればいいのかというと、別の文献では筋肉を温めると怪我を防ぐことができるという報告があります。
具体的にはスクワット、ジャンピングジャック、ウォーキングなど。呼吸が激しくなるまで数分間行うといいようです。
またこれらのウォームアップは遅発性筋肉痛を防ぐ効果があるとされています。
運動後のストレッチ
ワークアウト後にストレッチをしたら故障予防になるという考えもありますが、これに関しても以下の文献が報告するところによれば筋肉痛や故障を防ぐという点で効果はないようです。
では運動後に何をすればいいのか?ですが、一般的にはアクティブレストやアクティブリカバリが推奨されます。目的は筋肉に蓄積された乳酸の減少と血流の促進。
またマッサージも科学的に裏付けられた有効なリカバリ手段です。こちらの文献ではマッサージは遅発性筋肉痛と疲労から回復するための最も強力な手法と結論付けられました。
じゃあストレッチはいつやるの?
ストレッチ本来の目的である「柔軟性を高める」という効果については明らかに効果が認められており、日常的に実施すべきです。タイミングとしては、ストレッチのウォームアップができているワークアウト後の方がいいようです。
静的ストレッチは組織内の血流を減少させ局所的な乳酸の蓄積を引き起こすため、やるなら動的なストレッチが推奨されます。
またストレッチをやるにしても物理的な限界があるので、やりすぎると筋肉や腱、人体に微小な損傷を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
まとめ
- 運動前後のストレッチは故障予防の観点では効果がないから、運動前は筋肉の温度を高めるウォームアップ、運動後はリカバリを助けるアクティブレストを推奨するよ
- ストレッチ自体は柔軟性の向上に確実に効果があるので、日常的に取り入れたいよ
- 柔軟性を高める目的ならタイミングとしては運動後が推奨されるよ
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