【論文紹介】フットストライクは無理に変える必要がない

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ランナーにとって気になるフットストライク問題。フォアフットがいいのか、ミッドフットがいいのか、リアフットがいいのか。

現在世界を席巻しているアフリカ系選手にフォアフットが多いことからフォアフットが最高みたいに言われることが多い気がしますが、人間それぞれ骨格の違いなどがありますからそんな単純な話ではないと思います。

またヴェイパーフライが出てからは、フォアフットじゃないと効果がないとか、フォアフットの方がヴェイパーフライを活かせるという情報を今でも多く見かけます。

実際は、ヴェイパーフライを検証した論文でもフォアフット、リアフットでランニングエコノミー改善率にはほとんど差がなく、むしろリアフットの方がやや改善率が良かったという結果であったり、極端なリアフット走法のコスゲイ選手が圧倒的なマラソン世界記録を打ち立てたりと、そのような迷信は徐々に過去のものとなりつつあるように思います。

また、故障に関してもフォアフットストライクの方が膝への負担が少なく故障も少ないと言われることがあります。ただ、すでにリアフットで走っているランナーがフットストライクを変更しても、ランニングエコノミーが向上したり故障率が下がるという報告はなく、むしろフットストライクを変えることによって脚への負荷ポイントも変わり、逆に故障を誘発する可能性もあります。

そんなフットストライクと故障、ランニングエコノミー、バイオメカニクスの差についてこれまで報告されてきた多くの論文をメタ解析した文献が先月ジャーナルに掲載されたので紹介します。

What are the Benefits and Risks Associated with Changing Foot Strike Pattern During Running? A Systematic Review and Meta-analysis of Injury, Running Economy, and Biomechanics
Running participation continues to increase. The ideal strike pattern during running is a controversial topic. Many coaches and therapists promote non-rearfoot ...

邦題:「ランニング中のフットストライクパターンの変更に関連する利点とリスクは何か?故障、ランニングエコノミー、バイオメカニクスの系統的レビューとメタ解析」

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調査方法

すでに発表されている53本の論文を調査した結果をまとめたメタ解析と呼ばれるタイプの論文です。データ量は多く信頼度は高いと思われます。

論文の目的はリアフット(RFS:Rear Foot Strike)と非リアフット(NRFS:Non Rear Foot Strike、すなわちフォアフットかミッドフット)を比較して、その故障率の差やランニングエコノミーの差、バイオメカニクス的な差を比較することです。

分析結果

故障率

下図は走行距離10,000マイル当たりの故障発生率について、故障の程度に応じて3段階(Mild, Moderate, Severe)に分けて比較したもので、グラフ上の右側にいくほどリアフットストライクの方が故障率がやや高いことを示します。

この比較を見る限りは非リアフットランナーの方が故障率が有意に低いようですが、故障率について報告している文献は1つだけだったのでデータとしては不十分なようです。

ランニングエコノミー

下図は低速度、中速度、高速度の3条件での酸素消費量を比較した結果のまとめです。グラフで右側にいくほど非リアフットの酸素消費量が低い、すなわちランニングエコノミーが高いことを示します。

一部相反する結果もありますが、全体としてはほぼ有意な差はなさそうです。

また、リアフットランナーを非リアフットに変更したときにランニングエコノミーがどうなったかを比較したものが以下のグラフの上3つです。こちらは有意に非リアフット時の酸素消費量が上昇、すなわちランニングエコノミーは低下したことを示しています。

下の3つはその逆で非リアフットランナーがリアフットに変更したときで、やはりほとんど変わらないかややランニングエコノミーが悪化するという結果です。

バイオメカニクス

リアフットストライクと非リアフットストライクの比較と、リアフットストライクの人が非リアフットに変更したとき比較の2通りで比較を行っています。

元文献ではかなりのパラメータについて考察を行っているのですが、バイオメカニクスの専門家じゃないとなかなか読解が難しいと思われるので概要だけでご容赦ください。

非リアフットでは膝への負荷が低い代わりに脹脛やアキレス腱への負荷が高いことが認められたようで、元々リアフットの人が変更する場合は潜在的な故障確率は増加するかもしれないようです。

まとめ

  • フットストライクはランナーにとって気になる問題の一つだけど、ランニングエコノミーを比較してもほとんど差がないし、フットストライクを変えたとしても一時的に悪くなる傾向があるよ
  • 故障率は若干フォアフットの方が低いという報告があるけど、1文献のみの報告なので十分な証拠はないと言えるよ
  • いつも同じ箇所を故障するとかでなければ無理にフットストライクを変更するメリットはほとんどないと思われるよ

最後にこの文献を元にしたRunner’s Worldの記事を紹介します。

Stick to Your Natural Running Stride, Everyone
Research suggests there’s little evidence to justify a major change.
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ごっきー
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元ネトゲ廃人が福岡国際マラソンを目指すブログ

コメント

  1. ようすけ より:

    着地方法は人それぞれでいいのではと思います。
    以前有森裕子氏が現役時代に着地方法を気にした事はないと言っており、的を射た発言だなと思っていました。
    私は左が踵&中足、右が踵で左右で違うのは考えものですが…(汗)

    現在前足着地に変更したり変更中の日本人ランナー達はナイキとみやすのんき氏の著書に踊らされてるようにしか思えません。
    コスゲイ選手の綺麗な踵着地の動画を観て無理に変更する必要はないと思って欲しいです。
    キプチョゲ選手も正確には前足と中足が同時に着地していますし。

    • ごっきーごっきー より:

      骨格の違う他の人を真似してもうまくいかないですよね。

      ストライドやピッチを意図的に変えようとしてもランニングエコノミーは落ちるようですし、フォームも含めて人それぞれ最適なバランスがあると思います。