【やる夫と学ぶダニエルズ理論】Iペース【その8】

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やる夫と学ぶダニエルズ理論
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Iペースとその目的

ダニエルズ先生

IはIntervalの略だ。あらゆるタイプのトレーニングの中で、これほど解釈に幅があるものもないだろう。

ダニエルズ先生

ところでやる夫くん、インターバルトレーニングの定義とは何かね?

やる夫

速く走って、ちょっと休んで、また速く走るを繰り返すトレーニングだお

ダニエルズ先生

その速く走るとはどれくらいの時間で、ちょっと休むというのもどれくらいの時間かね?

やる夫

速く走るのは最低2分以上ぐらいかお、休むのも次の疾走の準備ができるかだお

ダニエルズ先生

やらない夫くんはどう考える?

やらない夫

市民ランナーの間で一般的にやられているのは1000mの疾走と200mのレストを繰り返すパターンでしょうか。レストは90秒前後が多いかと。

ダニエルズ先生

ふむ、どうやら二人の定義も一致しないようだね

ダニエルズ先生

このようにインターバルトレーニングとは人によって定義が全く異なる。共通するのはきついランニングと休息からなる断続的なトレーニングだ、というだけだ

ダニエルズ先生

そこで私はインターバルトレーニングの定義を独自に行うことに決めた。インターバルトレーニングの目的は、有酸素能力、すなわちVO2maxの向上だと考えると最も理にかなう。

やらない夫

特異性の原理からするとVO2maxを向上させるためにはVO2max付近の負荷をかけなければいけないのでしょうか

ダニエルズ先生

そうだ。そのための疾走時間と休息時間も、このトレーニングの目的を十分に達成できる比でなければならない

やる夫

VO2maxで疾走すると何分間持つんだお?

ダニエルズ先生

おおよそ11分間だ。もちろんここまで疾走時間を長くするのは良くない。Iペースで走る時間は3分~5分にするのが適正だ

やらない夫

1000mのインターバルならおおよそこの範囲に収まると思いますが、400mのインターバルではこれよりもかなり短くなるのでは?

ダニエルズ先生

それはあとで説明するが、レストを短くすることで対応可能だ

やる夫

5分以上走るのはどうなんだお?

ダニエルズ先生

やってみるとわかるが3000m~5000mのレースペースで5分以上の疾走を何本も行うのはきつい。しかも合間に休息を長く取らないとVO2は完全に回復せず、次の一本ではより短い時間でVO2maxに達してしまい、最後までそのペースが持たないかもしれない

VO2maxへの到達

 

ダニエルズ先生

安静時からIペースで走ったときにVO2maxに達するには約2分かかる。下の図を見て貰えばイメージしやすいと思う。

やる夫

Iペースよりも速く走ったらもっと早くVO2maxに達してお得になったりしないのかお?

ダニエルズ先生

残念ながら速く走っても到達時間はほとんど変わらないだろう

ダニエルズ先生

むしろ速く走った方が酸素負債が多すぎて、途中で失速して適正ペースで走れなくなるかもしれない。適正ペースより遅くなればVO2maxで走っていることにならないのだ

やる夫

じゃあインターバルで最初に速く入りすぎて、後半失速する練習は効果が低いってことかお?

ダニエルズ先生

そのとおりだ。その練習の目的が苦しむことなら目的は全うできたと言えるが、VO2maxの負荷を15分かけることが目的ならそれは全く達成できなかったことになる

やらない夫

Iペースの時間が3分~5分で、VO2maxへの到達が2分なら、この2分を差し引いた1~3分×本数がVO2maxを刺激できる時間ということですか?

ダニエルズ先生

そうだ、ただこれより短い時間でもリカバリを短くすればVO2maxの刺激時間を長くすることはできる

ダニエルズ先生

例えば400mでインターバル走をやる場合、レストを約40秒にすると2本目以降はVO2が既に上昇した状態でスタートするため、短時間でVO2maxに到達する

やらない夫

400mインターバルでレスト40秒はかなり短い印象ですね。他の距離のレストについてはどう考えたらいいでしょうか?

 

ダニエルズ先生

800mなら2分、1000m~1200mなら3分、1600mなら4分前後がいいだろう。疾走時間よりも若干短めがいい

やらない夫

市民ランナーでよくやられているレスト200mとかなら、90秒前後が多いと思いますがそれよりは大分長いですね。レストは短くしなくていいのでしょうか。

ダニエルズ先生

VO2maxペースで狙った時間走れるなら短くしてもかまわないだろう。先程述べたように設定を守れないほど短くしては本来の目的を達成できない。苦しむことが目的ならそれでいいのだがね

ダニエルズ先生

ただ、レスト90秒で1000m走れるようなペースなら、それは本当にVO2maxペースなのか疑問だろう。レストを長くしてもっと速いペースで走れるはずだ

Hランニング

ダニエルズ先生

インターバルトレーニングは決められたペースで行うとは限らない

ダニエルズ先生

きついと感じるランニング(Hランニング)を繰り返すだけでもインターバルトレーニングになる

やる夫

Hランニング・・・なんか卑猥だお

やらない夫

いや、HardのHだろ。卑猥な要素なぞまったくなく、吐き気がする練習だぞ

ダニエルズ先生

Hランニングはペースではなく体感なので、時間で決める。(H3分・レスト2分) x6という表記になるだろう

Iペースの%vVO2maxによる定義

やる夫

Iペースの定義はどれくらいなんだお?

ダニエルズ先生

ここまでの説明から想像がつくだろうが、95%~100%VO2max、97.5%~100%HRmaxだ

やらない夫

VO2maxを刺激すると言っているのだからほぼVO2maxの上限ですよね・・・

Iペースの上限

やる夫

Iペースにも上限があるのかお?

ダニエルズ先生

週間10kmか、週間走行距離の8%のどちらか短い方だ

やらない夫

週間100kmの選手でも8kmまでなんですね。週2回はやらないほうがいいと。

やる夫

Hランニングについてはどう考えるんだお?Hランはペースじゃなくて時間で管理するから距離がわからんお。

ダニエルズ先生

Hランニング5分につき1.6kmに換算するのがいいだろう

Iペースのトレーニング例

・週間走行距離48kmまで:(I 800m・ジョグ2分)x4~5
・週間走行距離64kmまで:(I 1km・ジョグ3分)x4~5
・週間走行距離72kmまで:(I 1.2km・ジョグ3分)x4~5
・週間走行距離88kmまで:(I 1.2km・ジョグ3分)x5
・週間走行距離113kmまで:(I 1.2km・ジョグ3分)x5~6
・週間走行距離113km超え:(I 1.2km・ジョグ3分)x6~8

まとめ

やる夫

インターバルの考え方についてよくわかったお

やらない夫

苦しい練習だからこそ、効果を最大化するような設定でやりたいですね

ダニエルズ先生

次回はRペースだ。有酸素能を超えたペースでの練習なので市民ランナーにとっては馴染みがないかもしれないが、ランニングエコノミーを鍛えるために重要な練習だ

やらない夫

最終的にはこのペースがボトルネックになって走力が停滞することも多いですかね

ダニエルズ先生

レペティションもインターバルとは違ったきつさのある練習だが、ぜひ取り組んでほしい

つづく・・・

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