ある距離のレースタイムから別の距離のタイムを予想したり、適切な練習ペースを決めたいという需要は大きいと思います。
日本ではダニエルズ先生のVDOTがあまりにも有名ですが、他にも同様のレースタイム予想式や練習ペースの設定方法はたくさんあります。
個人的にはダニエルズ先生のVDOTと練習ペースの完成度が高いため、基本的にはこの手法を推奨しますがVDOTの予想は合わないから信用していない、という方もいるでしょう。
そこで、今回はVDOT以外のレースタイム予測方法について紹介しようと思います。
VDOTとダニエルズ先生の練習ペースについては以下の記事を御覧ください。
Magic Mile方式
アメリカのコーチ、Jeff Galloway氏が提唱する方式。40年間にわたり300,000人を指導してきた実績から編み出した公式で、1マイルのタイムから5km~フルまでのタイムを予想します。
1マイルのタイムなんて日本ではあまり走らないでしょうから、1500mのタイムから1600m換算でいいと思います。まぁ市民ランナーは1500mもめったに走らないとは思いますが。私も走ったことはありません。
というわけで私のタイムで試してみました。1500mはちゃんと測ったことないですが、4’30″で走れるとして、1マイル4’48″を入れてみます。
ロングランペース | 5’08″/km |
5kmペース | 3’20″/km→16’40” |
10kmペース | 3’26″/km→34’20” |
ハーフペース | 3’36″/km→1:15’57” |
フルペース | 3’53″/km→2:43’52” |
ロングランはどういう位置づけかもわかりませんが、全体的に遅い気がします。5km~ハーフまではスピード型ならなんとなく近いタイムだと思いますが、いくらなんでもフルは遅すぎるかな、という感触です。ハーフ15分台で2時間43分台はないかなぁ。
個人的には1マイルや1500mは無酸素運動能もかなり必要な種目だと思うので、ここからフルの予想をするのは少し誤差が大きすぎる気がしますね。ちょっとLT周りの評価が甘い気がします。
Riegel Time方式
Pete Riegel氏が提唱している公式。ある距離のタイムを元に、目標レース(距離は任意)を走ったときの推定タイムを導出できます。その公式は非常にシンプルで以下の式で表せます。
T2=T1*(D2/D1)^1.06
各パラメータの意味は
T1:基準とする持ちタイム
D1:基準とする持ちタイムの距離
T2:目標レースの推定タイム
D2:目標レースの距離
です。試しに私のタイムで予想してみましょう。とりあえず5000m 16’18″を入れてみます。
1500m | 4’32” |
5km | 16’18” |
10km | 33’59” |
ハーフ | 1:14’58” |
フル | 2:36’21” |
お、これはかなり実感に近い数字が出ました。というかVDOTとの予想ともかなり近いです。こんなシンプルな式ですが、かなり合うんですね。
指数の1.06というのがマジックナンバーっぽくてこれが人によっては全然合わないのかもしれませんが、少なくとも私の場合はかなり合いそうです。
Godwin方式
Craig Godwin氏が開発した公式。エリートランナーのタイムから予想しているようですが、一般の市民ランナーでも同じ割合で通用するとの主張みたいです。
ここも私の5000mタイムを入れてみます。
100m | 12.3 |
200m | 24.6 |
400m | 54.7 |
800m | 2:09 |
1500m | 4:23 |
Mile | 4:44 |
3000m | 9:26 |
2 Miles | 10:09 |
5K | 16:18 |
10K | 34:06 |
Half Marathon | 1:16:20 |
Marathon | 2:40:57 |
うーん、3000m、5000m、10000mは妥当な感じですが、1500m以下は速すぎ、ハーフ以上は遅すぎな感じでしょうか。400m 54.7とか専門的に取り組んでも何年かかるやら。100-200も才能ゲーな領域な気がするのですが。全体的に距離が長いほど甘くなる気がするのでかなりスピード寄りの方向けでしょうか。
なおこの手法は練習ペースの提案もしてくれます。
Recovery | 4:27 to 4:43 |
Easy | 4:16 to 4:27 |
Tempo (LT) | 3:33 to 3:37 |
VO2 Max | 3:13 to 3:18 |
Speed | 2:58 to 3:02 |
Long Run | 4:16 to 4:43 |
Marathon | 3:50 |
ダニエルズ先生の提唱する練習ペースとはけっこう近いです。Easyよりも遅いRecoveryというペースと、Long Runというペースがダニエルズ先生の練習ペースにはないですね。どちらもEasyペースより遅めなペースでしょうか。
ただTempoとMarathonがやっぱり遅すぎる感じですかね。
McMillan方式
Greg McMillan氏が提唱する方式で、全世界で1400万人が利用しているとのことです。VDOTともよく比較される方式だと思います。
これもとりあえず試してみましょう。
1500m | 4:20.5 |
3000m | 9:16.7 |
5000m | 16:18 |
10km | 33:51 |
1/2 Marathon | 1:15:28 |
Marathon | 2:38:50 |
1500m、3000mが速すぎ、10km、ハーフはまぁ妥当、フルが若干辛口の評価といったところでしょうか。これもややスピード寄りの評価な気がします。
こちらの手法もトレーニングペースを出してくれます。
大カテゴリとしてEndurance、Stamina、Speed、Sprintの4つに分けられて、その中に小カテゴリがあるようです。Endurance:ダニエルズのEペース、Stamina:ダニエルズのTペース、Speed:ダニエルズのIペース、Sprint:ダニエルズのRペースにそれぞれ対応する感じですね。
Endurance Paces
Pace | Effort | RPE | |
Recovery Jogs | 7:20-8:03 | Very Easy | 2 to 3 |
Long Runs | 6:25-7:32 | Easy | 2 to 4 |
Easy Runs | 6:20-7:14 | Easy | 2 to 4 |
Stamina Paces
Pace(Time) | Effort | RPE | |
Steady-State Runs | 5:46-6:01 | Easy-Med | 3 to 5 |
Tempo Runs | 5:31-5:45 | Medium | 4 to 7 |
Tempo Intervals | 5:26-5:40 | Med-Hard | 4 to 7 |
1mi | 5:22-5:33 | Med-Hard | 5 to 8 |
1200m | 5:21-5:33(4:00-4:09) | Med-Hard | 5 to 8 |
1000m | 5:21-5:33(3:20-3:27) | Med-Hard | 5 to 8 |
800m | 5:21-5:33(2:40-2:46) | Med-Hard | 5 to 8 |
600m | 5:21-5:32(2:00-2:04) | Med-Hard | 5 to 8 |
400m | 5:21-5:33(1:20-1:23) | Med-Hard | 5 to 8 |
Speed Paces
Pace(Time) | Effort | RPE | |
400m | 4:48-5:04(1:11-1:15) | Hard | 8 to 9 |
600m | 4:58-5:11(1:51-1:56) | Hard | 8 to 9 |
800m | 4:59-5:14(2:28-2:36) | Hard | 8 to 9 |
1000m | 5:08-5:20(3:11-3:19) | Hard | 8 to 9 |
1200m | 5:08-5:25(3:49-4:02) | Hard | 8 to 9 |
1600m | 5:17-5:26(5:15-5:25) | Hard | 8 to 9 |
Sprint Paces
Pace(Time) | Effort | RPE | |
100m | 4:01-4:28(15-16.7) | Hard | 8 to 9 |
200m | 4:07-4:36(30.8-34.3) | Hard | 8 to 9 |
300m | 4:11-4:48(46.9-53.7) | Hard | 8 to 9 |
400m | 4:14-4:48(1:03-1:11) | Hard | 8 to 9 |
600m | 4:34-4:54(1:42-1:49) | Hard | 8 to 9 |
マイルをkmに直すのが面倒なのでギブアップ。インターバルのレスト等も気になりますが ほぼダニエルズのトレーニングペースと同じですね。
会員になればMcMillan先生がメニューを組んでくれるみたいなのでいかがでしょうか?
まとめ
- レースタイムから他の距離のタイムを予測する手法についてVDOT以外の方法を紹介したよ
- 個人的には最も単純なRiegel Time方式が一番合う感じで、他の手法はどれもスピード寄りの方向けだと思うよ
- McMillan Calculatorは海外ではかなりメジャーなようだし、トレーニングメニューもかなり細かいのでVDOTが物足りなかったら試してみるのもいいと思うよ
なお当ブログはVDOTを推します。結局それかよ。
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