【ダニエルズ式】サブ4(4時間切り)練習例

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目標タイム別練習法
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サブ4というステータスについて

マラソンを走る人の多くが目標にするであろうサブ4。多くの人にとっては真剣に練習に取り組まないと達成できない称号ですし、マラソンを走らない人に対して、「マラソンやっててサブ4で走ります。」と言えば一目置かれるほどのステータスと言えます。もしくは変人扱いされるかです。

サブ4達成の練習例や体験談はいくらでもありますが、人間一人一人違うのでその例をそのまま当てはめれば自分もサブ4できる、というのは少ないと思います。私も先日サブ4達成の体験談を書きましたが、それがそのまま参考になるという人は少ないのではないかと思います。

【過去の振り返り】初サブ4まで【その2】
初マラソンから初サブ4を達成した板橋Cityマラソンまでの道のりを振り返ります。

そのため今回の記事ではダニエルズ式をベースにして、目標に対して自分の立ち位置がどこで何が足りないのか、その不足を埋めるためにどのような練習をすればいいのか、という視点で書いてみようと思います。

サブ4の難易度

まず難易度について。少し古いですがランナーズが2015年に行った調査によれば男性は29.6%、女性は11.9%ということでした。統計上はかなり難しく思えますが、この母数は普段走らずにマラソンの抽選に当選してから走り始めレースでは制限時間いっぱいで走り(歩き)切ってそれっきり、というような人もかなり含まれているので、日常的に走る習慣を作れるのであれば男女問わずほとんどの方は達成できると断言できます。ただしそれなりの努力は必須です。

才能豊かな方は大した練習もせずに初マラソンでサブ4を当たり前のようにやりますが、そのような方は例外で多くの方は継続して練習しないと難しいです。だからこそ達成したときの価値は高まります。

サブ4のVDOTとその練習ペース

先述の通り、目標に対しての自分の立ち位置を知ることは重要です。目標に対して何が足りないのかを明確にするためです。達成に向けては、現実的なマイルストーンを設定していき、それを一つずつクリアしていくというやり方が王道です。

サブ4に関しても、まずスピードのスタミナのどちらか、もしくその両方とも足りないかの切り分けが必要で、そのためにダニエルズ計算機を使用します。サブ4の設定をダニエルズ計算機に入れてみると、トレーニングペースとして以下の値が出てきます。

サブ4の練習ペース(VDOT39.2)
目安となるペース
Rペース4’31″/km
Iペース4’46″/km
Tペース5’11″/km
Mペース5’41″/km
Eペース6’13″/km-6’35″/km

VDOTやダニエルズの練習ペースについてご存知ない方は以下の記事も参考にして下さい。

各ペースの到達度確認と達成のための練習

第一段階:Rペース

まずR(Repetition)ペースから見ていきましょう。1kmを全力で走って4’31″/kmを切れるかどうかが、スピードが十分かどうかの一つの判定材料です。走りなれていない方の場合、まずこの全力で走る、というのが難しいかもしれませんし、1km全力走というのは何度もやりたいものではないなので、これより遅くても本気を出せばこれぐらいではいけそうだな、という感触が持てれば十分かと思います。

もし全然届かないのであれば基礎スピードが足りない可能性が高いです。長距離の練習に入る前に、400m 108″を目標にしたレペティションをやり、スピードを出す感覚を体に覚えさせましょう。

おそらく標準体型の男性ではこのフェーズが必要になることはほぼないと思います。女性の場合は走り慣れていないとこのスピードはきついかも知れませんが、短い距離のスピードがあればあるほど長い距離も楽になっていくので、まずはここから頑張りましょう。

第二段階:Iペース

次にI(Interval)ペース。 1kmを4’46″/km以内で走って3分休憩を1セットとし、それを5本できるか試してみましょう。ここまでできるのであれば、サブ4に向けては十分なスピードがあると言えます。

できない場合は、5本しっかり揃えられるペースから始めて、何週間か続けてから徐々に設定を上げていきましょう。6週間続けても速くならない場合は一つ前のフェーズ(ここではRペース)が十分でない可能性があるので、そこまで戻って短い距離の余裕度を上げる必要があると思います。

ここもおそらく標準体型の男性ではネックになることはあまりないと思います。 経験の浅い女性にとってはおそらくここが一つの関門になるかと思うので、1回1回の練習に集中して取り組みましょう。

第三段階:Tペース

ここからスピードに加えて持久力が問われるフェーズですT(Threshold)ペース5’11″/kmで20分走りきれるかどうかを試してみましょう。おそらく第二段階を突破できていれば、ここはそれほど問題にならないのではないかと思いますが、相対的にLTが弱い人は第二段階がギリギリだとここで脱落するかもしれません。

その場合は第二段階をもう一段階上のレベルに引き上げる(例えば4’40″/kmとか)のも一つの手です。スピードの天井が上がればそれより遅いペースは相対的に楽になるはずです。

練習としては、まず20分間ペースを落とさずに走りきれるスピードから始めて、徐々に設定を上げていき最終的な目標ペース5’11″/kmを目指しましょう。

第四段階:Mペース

いよいよ仕上げとなります。サブ4ペースである5’41″/kmでロングラン(30km前後)ができるかどうか。おそらくサブ4レベルではここが一番の難関だと思います。女性の場合は第二段階のが厳しいかもしれないので、こちらのが簡単かもしれません。また、サブ4クラスはスタートに10分程度かかる位置に整列させられることが多いので、 グロスタイムでサブ4狙いの方は5’30″/kmくらいでいければスタートが遅くても余裕を持って走れると思います。

第三段階まででエネルギー生産系(解糖系、酸化系)までは仕上がっていると思うので、これが出来ないのであれば脚の筋力不足かエネルギー補給の問題のどちらかだと思われます。

筋力不足に関しては、食生活を見直して必要であればプロテインを摂るようにし、それでも不十分な場合は補強トレをしっかりやる必要があると思います。

後半どうしても失速してしまう、という方はエネルギー不足の可能性もあるので、前日に炭水化物を多めに摂ったり、練習中にエナジージェルを摂るのも有効だと思います。本番でのエネルギー補給練習にもなります。

全フェーズと並行してEペースでのジョグ

普段のジョグはE(Easy)ペース6’13″/km-6’35″/kmくらいを目標にしましょう。おそらくそれほど楽なペースではなく、「全然Easyじゃねーよ」と思うかもしれませんが、普段からこれくらいのペースで心拍数をしっかり上げておけば心血管系が強化され、血液の循環機能が上がります。

このEペースジョグをしっかりやることで体に起こる変化として、一定ペースで走る心拍数が下がってくるはずです。心拍数が下がれば速いペースで走るときの心拍数に余裕ができ、更に上のレベルに行くための準備ができます。ただ心拍数が下がるだけで最大スピード自体が上がるわけではなく、最大スピードを上げていくにはRペース、Iペースの強化が必要になってきます。

上記全てをクリアしてもサブ4達成できない場合

上記各フェーズを練習で全て達成できれば、レース本番ではサブ4を達成する確率はかなり高いはずです。それでも本番では何かがうまく噛み合わずに達成できない事もあるかもしれません。

そのような場合には、レース本番で何がダメだったのかを客観的に分析しましょう。「根性がなかった」、「気持ちが足りなかった」等の精神論で片付けてしまってはダメで、具体的に対策や練習に落とし込めるレベルで原因を分析することが重要です。

まだマラソンの経験が浅い場合は補給やペース設定のミスが原因のことが多いと思います。このあたりは経験を積んで自分に最適な方法が見つかると思うので、焦らず一歩ずつ行きましょう。

練習例

週間練習パターン

  • 月:Eペース走8km(6’20″/km)
  • 火:休足
  • 水:ポイント練1
  • 木:Eペース走8km(6’20″/km)
  • 金:Eペース走8km(6’20″/km)
  • 土:休足
  • 日:ポイント練2
  • 週間40km~60km

ポイント練(スタミナタイプ)

時期練習
レース4ヶ月前400m x8 レペティション(108″/400m)
レース3ヶ月前1000m x5 インターバル走(4’46″/km)
レース2ヶ月前20分テンポ走(5’11″/km)
25km走(6’20″/km~6’00″/km)
レース1ヶ月前20分テンポ走(5’11″/km)
30km走(6’00″/km→5’30″/km)

ポイント練(スピードタイプ)

時期練習
レース4ヶ月前1000m x5 インターバル走(4’30″/km)
レース3ヶ月前20分テンポ走(5’20″/km)
25km走(6’20″/km~6’00″/km)
レース2ヶ月前20分テンポ走(5’15″/km)
25km走(6’00″/km~5’40″/km)
レース1ヶ月前20分テンポ走(5’10″/km)
30km走(6’00″/km~5’30″/km)

スタミナ型とスピード型で若干アプローチが変わってくると思います。

スタミナ型の場合は基礎スピードが足りないことを想定して400mのレペティションから始めていますが、余裕でこなせて不要と思うのであればスキップして問題ないでしょう。インターバルについても同様です。

スピード型の場合はインターバルから入る想定で設定も速めにしています。またこのタイプはロング走が苦手だと思われるので3ヶ月前から重点的に取り組む設定としています。

どちらのタイプでも共通ですがロング走は週1回までとし、毎週やるのが厳しいようであれば隔週でも十分です。とにかくこの段階では一定ペースで長い距離を走り切るという感覚を身につけるのが一番重要です。

平均的な練習量としては、週間40km~60km、月間200km前後が目安になるかと思いますがもちろん個人差も大きいのであくまで目安。自分のスタイルに合った練習量を見つけていきましょう。

まとめ

  • サブ4は走り始めた多くのランナーにとってそれなりの練習をしないと達成できないちょうどいい称号だよ
  • サブ4に必要な能力のうち何が出来ていて何が出来ていないかを整理するためにダニエルズ計算機を使うよ
  • 4段階のフェーズとそれと並行したEペースジョグで1つずつマイルストーンを達成していけば、本番ではかなりの確率でサブ4達成できるよ

この記事がサブ4を目指す方にとって少しでも参考になれば幸いです。

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