【ダニエルズ式】サブ45(2時間45分切り)練習例

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目標タイム別練習法
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今回はサブ45の攻略法についてです。筆者の知人で初サブ3が2時間44分台だったという変態すごい人もいますが、多くの方は段階を踏んでサブ50を達成してから狙うのが普通でしょう。そのためサブ50相当の走力、すなわちほぼキロ4でロング走ができる方を対象に書いていきます。

ギリギリキロ4でのロング走がこなせるようになっても、45分を切るにはもう一段階のレベルアップが必要になります。

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サブ45というステータスについて

さて2時間45分切りですが、サブ50を達成した方にとって次の目標になるタイムだと思います。

ここを足がかりにして2時間40分切りのサブ40を狙う、という中間目標としての位置づけも強いと思います。また、地方の方なら東京マラソンの準エリート枠で出られるチャンスもこのあたりから出てくると思います。

ただし、このゾーンになるとMペースがキロ4分を切ってきますので、ほとんどの方にとってはキロ3秒=フルで約2分を縮めるのも大変になってくると思います。私も2時間45分台からサブ45達成まで2回失敗して、結局1年かかりました。

私の体験談はこちらです。

【過去の振り返り】初サブ45まで【その6】
初サブ50から初サブ45までの1年を振り返ります。

サブ45の難易度

まず難易度について。ランナーズが2015年に行った調査によれば男性は0.8%、女性は約0.1%だったようです。男性のサブ3が約3%、女性が約0.4%ですからそこから約3/4が脱落しています。

サブ50からはわずか5分なのですが、サブ3まで順調に達成された方でもこの5分が特に重くなってくるのがこのあたりではないでしょうか。もちろん個人差は大なのでこのあたりも余裕という人もいれば、私のように苦労する人もいます。 なお2時間45分は2005年~2009年の福岡国際マラソンBグループ参加資格タイムでした。それくらい難しいタイムということです。

サブ45のVDOTとその練習ペース 

サブ45のVDOTは59.3になります。各ペースがサブ50のときからほぼ-6″/kmとなっています。このあたりになると、たかがキロ6秒とはとてもいえない感覚だと思います。

サブ45の練習ペース(VDOT 59.3)
Rペース3’10″/km
Iペース3’25″/km
Tペース3’42″/km
Mペース3’55″/km
Eペース4’28″/km-4’44″/km

ダニエルズの練習ペースについては以下の記事も参考にして下さい。

各ペースの到達度確認と達成のための練習

第一段階:Rペース

まずR(Repetition)ペースから見ていきましょう。3’10″/kmとキロ3が見えてきました。。1500mなら4’45″に相当します。まずはこのレベルで走れないとこの後が厳しくなりますので、しっかりとこのスピードで走れるようにレペティショントレーニングを重ねることを推奨します。スピードタイプの方ですでにこのレベルでは走れるという方は先に進んでも構わないと思います。

レペティションとしては76″/400m x12などがメニュー例として挙げられます。スピードを出す体の動かし方を体に染み込ませましょう。補強としてウェイトトレーニングも効果的だと思います。

私は結果的にサブ45を目指す段階ではレペティションはやらずにインターバルにかなり時間を割きました。当時はまだダニエルズ理論の理解が浅かったこともありますが、おそらくIペース+α(82″→78″)の400mインターバル(レスト40″)がレペティション的な効果、すなわちランニングエコノミーの改善も兼ねていたと思っています。

第二段階: Iペース

次にI(Interval)ペース。 3’25″/kmのインターバル走がこなせるレベルが必要です。これは5000m 17’13″前後の走力に相当するVO2maxが要求されます。

Iペース3’30″/kmまではなんとか辿り着いたけどそこから先は厳しい、という方も多いと思います。スキャモンの発達曲線によれば呼吸器、循環器系は10代が発達のピークと言われていますし、20代以降はなかなか発達し辛いですので、VO2maxが個人の限界に近づきつつある場合はなかなか劇的な改善は望めません。ただ重要なのはVO2maxそのものではなく、VO2maxで走れる速度・vVO2maxなので、ランニングエコノミーを鍛えるのも重要です。

そのため第一段階のレペティションがランニングエコノミーの向上に有効で、Iペースが厳しくなってきた方には特にオススメしたいです。

また、このレベルになるとインターバル走の疾走は1200mをオススメします。というのもIペースによるインターバルではVO2maxを刺激する効果が出るのは疾走を開始してから2分前後と言われています。1200mなら4’06″、1000mだと3’25″になるので、VO2maxを刺激する時間は前者が2’06″、後者は1’25″と大きく変わってきます。5本やると前者が10分強、後者は7分半弱となるので、前者のほうが効果はあると思います。私もこのダニエルズ式の1200mインターバルでIペース3’30″/kmから3’20″/kmまで2ヶ月くらいで到達し、効果の大きさに驚きました。

また、Iペースの強化の到達度を確認するのに5000m記録会に出られることをオススメします。5000mはVO2maxと相関が高いので、ここまでのトレーニングの到達度を測るのに最良だと思います。

ここまでのRペース、IペースでのトレーニングでしっかりとvVO2maxを鍛え、ぜひ5000mで17’10″前後を狙ってみてください。

第三段階:Tペース

ここからスピードに加えて持久力が問われるフェーズです。T(Threshold)ペース3’42″/kmで20分走が目標とする練習レベルになります。苦労してRペース、Iペースでの練習を重ねてvVO2maxが向上したならば、有酸素運動能の上限が向上していることになるのでおそらくTペースも向上しているはずです。

Tペースでの練習はvVO2maxからみたLTの割合(%vVO2max)を引き上げることに繋がるので、まずは最後まで落とさずに走れる20分テンポ走のペースから徐々に3’42″/kmを目指してください。

テンポ走が苦手な場合はクルーズインターバルという手段もあるので、こちらも併用すると効果的かもしれません。

第四段階:Mペース

いよいよ仕上げとなります。サブ45ペースである3’55″/kmでのロング走ができるかどうか。これは本番前に1回できていれば十分かと思います。脚作りのためにロング走は何本かこなしておく必要はありますが、ロング走自体はMペースにこだわりすぎる必要はないと思います。

当ブログでも何度か書いていますが、Mペースの生理学的な練習効果はEペースと大差なく、主に脚作りと精神的に自信がつく効果が大きいです。そのため本番でしっかり疲労が抜けていれば全然走れる、という意識が持てれば、多少はMペースから落ちたとしても問題ないと思います。自信をつけるという効果を最大限得るにはやはりレースペースでしっかり走り切るというのは重要ですが、必須条件ではないです。本番効果で練習でも走れなかったペースで走りきってしまった、という経験がある方も多いでしょう。

また、走力が上がれば上がるほどMペースでのロング走はダメージも大きいので、他の練習に影響も残ります。トップ選手でもMペースからキロ30秒落ちでロング走をしているケースが多いです。

全フェーズと並行してEペースでのジョグ

普段のジョグはE (Easy) ペース4’28″/km-4’44″/kmくらいを目標にしましょう。

下限が4’44″/kmということで、それなりに速いですがジョグでもHRmaxの65~70%前後は保つようにしましょう。Iペースがなかなか上がらないと思ったら、Rペースに戻るという選択の他にもEペース量を増やすことも考慮に入れるべきだと思います。Eペース量の増加は心血管系を強化しますので、同じペースで走るときの心拍数の低下という反応が見られると思います。そのため以前と同じペースでもHRmaxまで余裕ができ、スピードを一段階押し上げる基礎が整ってきます。

上記全てをクリアしてもサブ45達成できない場合

上記各フェーズを練習で全て達成できれば、レース本番ではサブ45を達成する確率はかなり高いはずです。もしダメだったとしても、ここまでサブ50を達成された変態ガチランナーの皆さまなら、何がダメで達成できなかったのかを分析する力は十分にあることでしょう。

自分の長所・短所を分析して自分に合ったトレーニングにアレンジしてみてください。

あとは今更かもしれませんが、タイムを出しやすい公認コース(アップダウンが少ない、気候が安定している時期に開催される、…)というのは限られてくるので、そこにきっちりピークを合わせられるかどうかも重要になります。

また、当日の気象条件によっても大きタイムが変わるので最後は運も絡みます。みなさまの幸運を祈ります。

練習例

週間練習パターン

  • 月:Eペース走16km(4’30″/km)
  • 火:休足
  • 水:ポイント練1
  • 木:Eペース走16km(4’45″/km)
  • 金:休足
  • 土:ポイント練2
  • 日:ポイント練3 or Eペース走16km (4’45″/km)
  • 週間80km~100km

ポイント練(スタミナタイプ)

レース4ヶ月前400mレペティション(76″/400m)
レース3ヶ月前1200mインターバル走(3’32″/km)
レース2ヶ月前1200mインターバル走(3’27″/km)
20分テンポ走(3’45″/km)
30km走(4’15″/km→4’00″/km)
レース1ヶ月前20分テンポ走(3’42″/km)
30km走(4’00″/km→3’55″/km)

ポイント練(スピードタイプ)

レース4ヶ月前1200mインターバル走(3’30″/km)
レース3ヶ月前1200mインターバル走(3’25″/km)
20分テンポ走(3’45″/km)
レース2ヶ月前20分テンポ走(3’42″/km)
30km走(4’15″/km→4’05″/km)
レース1ヶ月前20分テンポ走(3’42″/km)
30km走(4’05″→3’55″/km)

例によってポイント練に関してはスタミナタイプの方とスピードタイプで分けてみました。必要なポイント練も増えてくるでしょうから、週2で足りない場合は週3でポイント練を設定するのも考慮に入れるべきだと思います。

ちなみに私のサブ45体験例では、5000m記録会に向けてインターバルを徹底的にやったのが大きなポイントだったと思っています。やはり5000mの走力が上がる、すなわちvVO2maxが上がることで有酸素運動能の上限が上がり、すべてのペースが上がりやすくなったと思います。

平均的な練習量としては、週間80km~100km、月間320km~400km超あたりが目安になるかと思いますがもちろん個人差も大きいです。私も2時間40分台を出したときは忙しくてあまり走れずに月間250km前後でしたが、ポイントは週3でやっていて故障もしばらくしていなかったので積み上げができていたのが大きかったと思います。

ただ、Eペース量はポイント練に影響しない範囲なら増やせるなら増やした方が器は大きくなると思います。月間400km超ともなると、時間を捻出するために家事育児や仕事のマネジメントも重要になりますし、ストレッチなどのセルフケア、食生活、睡眠、BCAA・プロテインなどの補助食品等、生活をラン中心にする必要があります。飲酒もランナーにとってリカバリが遅れるなどマイナスになる面が多くプラスになることはないと思うので避けるべきですね。

まとめ

  • サブ50からサブ45はたった5分だけどその5分が重くなってくるよ
  • まずはRペースとIペースで鍛えて5000mの記録を17’10″くらいまで上げておきたいよ
  • 走ること以外にも補強やストレッチ、リカバリの重要度も増してくるので時間を捻出するための努力も必要だよ

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